爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ちぐはぐな身体」鷲田清一著

文庫本で、副題に「ファッションって何?」と軽めの文もあったので、気楽に読める本かと思いましたが、相当堅い内容でした。
著者は哲学者で大阪大学の総長も勤められた方です。この本の初版は1995年出版ですので、当時は大阪大学教授でしたが総長退任後は大谷大学に移られているようです。
ファッションにも以前から興味を示しておられるようです。

各章も「つぎはぎの身体」「みっともない衣服」といった感じで身体や衣服といったものの哲学的な意味について深く考えないと分からないようになっています。
要するに衣服とは、「ほんとうに隠されるべきものはなにもない」ということ、秩序に最終的な根拠はないということ、そういう風に隠されるべきことを隠蔽する装置だということだ。といった文章の機能をフルに使ったような哲学的文章がちりばめられています。

あとがきを見て驚きました。これは「10代向けのシリーズ」として書かれたものだそうです。まあ背伸びをしたがる年代ですから分かったような気になる人も居るのかも知れません。(今から40年以上前の少年としての感想ですが、現代の青少年はどうなのでしょう)

とにかく、久し振りに手ごたえのある文章を読みました。