医学研究者ではないようですが、歴史学者の氏家さんが江戸時代、ほとんど江戸近郊の病気・病死等の記録を集めたものです。
死亡者の年齢・死因等をまとめた記録というのは色々と残っているようですが、肺病(結核)梅毒、流行病の死者が多いのには改めて圧倒されます。
一方、それらの病気を上手く乗り切ると結構長寿の人もいたようです。栄養状態は悪かったのでしょうが、長生きできる人も居たということでしょうか。
妊娠出産の危険性も相当なもので、死亡例もかなり多かったようです。また、出産時の妊婦の死亡、子供の死亡がどちらも多いためもあり、母乳が余る(飲むべき子供が死亡)ために専門の乳母と言うのではなくても他の子供に飲ませると言うことも頻繁に行われたようです。親戚や知人の交際を強めると言う働きもあったようで、乳を貰った人に対する親近感というのも発生したようです。乳縁と言うべき関係があったとか。
町医者というのもかなり存在したようですが、いい加減なものだったようで、他の職業が何もできないので医者になると言うのも多かったとか。そのためか、自分たちで薬を作って飲んだり周囲の知人に配ったりと言う活動も一般の人々の間で多かったようで、町人ばかりでなく武士階級でも普通に見られたことだそうです。
近代の医療が始まるまではなかなか病気を治すということはできなかたのでしょうが、結構いろいろと工夫していたものだと感じます。