爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「移民の宴」高野秀行著

早稲田大学探検部出身で世界各国を訪れ紀行を書いてきた高野さんが、日本国内にいる外国人がどのようなものを食べているかということを訪ね歩いたものです。
今国内にいる外国人は200万人に上るようです。世界各国からいろいろな目的で日本にやって来ています。国それぞれで違いがありそうですが、出身国別に連絡を取り合いコミュニティーを作りながら生活をしているようです。

コミュニティーの中心となるのはやはり宗教の寺院が多いようで、イスラム教のモスクやタイの仏教寺院、インドのヒンズー教寺院など、結構あれこれと建っていてその周辺にはやはりその信者が多く住んでいるようです。そこがそれらの人々のつながりの中心となっており、頻繁に集会が行われそこでは出身地の郷土料理が作られているそうです。

当然のことながらその料理は完全に現地の味であり、日本向けのものではないようです。それを高野さんたち取材チームが食べさせてもらい、ついでにいろいろと生活の状態などを聞いて回っています。

ちょうどこの取材の時期に東日本大震災があり、外国出身者も相当被害を受けていますが、フィリピン出身の女性で日本人と結婚して被災地に住んでいる人もかなり多いようです。いくら被害が大きくてももはや捨てて帰るということはないようですが、明るく被災者を盛り上げている様子が伺われます。

しかし、”移民”という言葉は人によっては受け入れられない場合もあるようで、それを聞いただけで取材拒否ということもあったようです。特にヨーロッパ系の人は過剰反応もされたようですが、逆にまったく気にしない人も多いとか。