爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「嗜好品の文化人類学」高田公理、栗田靖之、CDI編

嗜好品とは栄養のために摂取する食品ではなく、贅沢・余裕のために取られるもので、酒・茶・タバコなどのものが含まれます。
それらの世界各国の民族での状況を詳しく調べられたものです。
もちろん、食品との境界はあいまいで、社会状況によって揺れ動きます。例えば中世ヨーロッパではビールも嗜好品ではなくビタミン補給のための重要な食品であり、現代のアフリカの民族によりそのように摂取されている例もあるようです。
また、逆に通常は食品として扱われているものも民族によっては特別に贅沢な嗜好品として扱われる場合もあり、ピグミーでは食品としては通常は取られない蜂蜜や象の脂肪がときたま得られた場合は特別な嗜好品として摂取されると言うことがあるようです。

嗜好品というのは、やはり酩酊・鎮静という要素が大きい様で、日本で通常考えられている酒タバコ茶類はそれらにあてはまりますが、大麻なども当然その範疇に入り、日本と逆に酒を禁止され大麻を認められている社会もあるようです。
嗜好品に対して食品では考えられないほどの対価を費やすというのもいずれの社会でも見られる特性のようで、かなり高いものでも厭わずに購入されることがあるというのも、どこでもあることのようです。

まあ非常に興味深い内容でしたので、この後援をしたのが日本たばこ産業であったというのは大目に見ておきましょうか。