爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「エネルギー経済とエコロジー」室田武著


同志社大学教授の室田さんの著書です。著者は大学では物理学を専攻し、その後経済学を修められたとのことで、エネルギーに関しても非常に的確な指摘をされていると感じます。
槌田敦さんの影響も受けているようで、原子力発電はそのあらゆる段階に石油エネルギーの多大な消費を伴うので自立できないという点も強く主張しています。

ただし、主眼はやはり環境第一ということのようで、石油・石炭等の消費も環境に悪影響を与えるので制御すべきということのようです。
原油がなくなるという心配はないと言い切ってしまうところは、既存のエネルギー学の限界かもしれません。

石油ピークの問題点は枯渇が迫るということではなく、供給が増やせないというだけでも危機に至る可能性が強いということです。特に、経済が相変わらず成長を求め続けている限り、増えない供給を取り合う紛争が起こりうるということではないでしょうか。