「私の責任で」などと「やってる感」を取りつくろうと必死の安倍政権ですが、ウイルス対策会議もほんの10分程度とか、専門家委員会もいよいよとなって立ち上げたとか、学校休校も専門家の意見も聞かず場当たり的に突っ走ったとか、いろいろの話がでています。
とにかく、安倍政権の危機管理能力にはまったく信頼感が感じられませんが、それについて東洋経済オンラインで、経済ジャーナリストという岩崎博充さんという方が詳しい解説を書かれていました。
国家と企業では違う点もあるかもしれませんが、最近の企業のリスクマネジメントへの取り組みは進んでおり、力を入れている企業も数多いところです。
しかし、その眼から見ても今の政府のリスクマネジメントは不安を覚えます。
まず最初に岩崎さんが触れているのは、首相の暴走とも言える政権運営に政府や自民党内でも助言忠告を行なったという人間が誰もいないように見えるということです。
企業の危機管理の第一条件としては次の三項目があげられます。
1. コンプライアンス(法令順守)の徹底
2. 正確で迅速な情報公開
3. 誠意ある真摯な対応
これに欠けた対応をして企業の存続にも関わるようになった事例はいくつでも挙げることができます。
某大学アメフト部の不祥事での大学対応はすべての項目で失敗していましたし、数年前に起きた廃棄食品の横流し事件では廃棄側の企業には直接責任はないにも関わらずすべてを自己責任としての発表態度で乗り切ることができました。
そこで、今回の新型コロナウイルス肺炎流行に対する政府の対応には次の問題点があるとしています。
①リーダー不在
なにかあれば「私の責任で」とか「私がリーダーシップを取って」と語る首相ですが、実際は何もしていないことはもう周知の事実です。
政府対策会議といいながら10分でお開きにして首相は家に帰り、会食やパーティーに出ているということも分かっています。
②問題を矮小化しようとする
PCR検査がなかなかできないという事態になっていますが、これも多く実施すると感染者数が増えるからしていないのではないかという疑惑を持たせるようです。
オリンピックが開きたいだけではないかという推察も広がっています。
③隠ぺい、恫喝、報道管制
外部から指摘をされてもまともに対応しようともしない姿勢が染みついています。
神戸大学の岩田健太郎教授が内部告発をしたらよってたかって圧力をかけたようです。
マスコミも懐柔しており報道管制も行き渡っているようです。
④明日も昨日と同じと考えるメディア体質
状況を見直すこともできず報道をだらだらと続けているのはメディアの責任でもあります。
そして、安倍政権の特質として次のものを指摘します。
1、官僚の人事権を把握
安倍政権になってから2014年に内閣人事局を創設、それで高級官僚の人事権を政権が把握してしまいました。
その結果、官僚の忖度をこれまでよりはるかに強く受けるようになりました。
2、大手メディアを政府の広報に変えた
産経や読売だけでなくほかの大手メディアも懐柔してしまいました。
この結果、本当の情報が耳に入らなくなりました。
この解説の最後に、岩崎さんは日本経済の今後について極めて厳しい見方をしています。
肺炎流行はいつかは終わるでしょうが、中国頼り、海外観光客頼りとしてしまった日本経済はそれまでに壊滅的打撃を受けるのではないか。
このような危機管理能力が徹底的に欠如した政権を持ったために国自体が崩壊しかねないという暗い予測です。
それほど特別な見方をしているわけではないでしょうが、分かりやすく分析されていると思います。
そして、おそらく岩崎さんの指摘されている通りに推移していくでしょう。