田中宇さんの「国際ニュース解説」、いつも刺激的な内容で楽しませてもらっていますが、今回はなんと「米国の中国敵視の追随せず対中和解した安倍の日本」だそうです。
これまで、世界各国から問題視され距離を置かれていたトランプ政権に、異様なほど親密な様子を見せ、対米従属も度が過ぎると見えた安倍政権ですが、もはやその路線にも別れを告げ、中国との関係改善に路線変更したとか。
本当かいなというのが率直な感想。
あの、骨の髄まで対米隷従が身にしみこんだように見えたのが本当に変わるんか。
しかし、田中さんによれば、トランプが同盟国にイランや中国との貿易を止めさせるように圧力をかけているのも、アメリカを見放すようにという暗黙の意思表示なんだとか。
ヨーロッパ各国もすでにアメリカと距離を置く方向に進み始めているそうです。
さすがの日本も、これまでのアメリカのポチ役を捨てざるを得なくなるようです。
今回の安倍訪中では、尖閣諸島領有問題も双方棚上げということで手打ち式、田中角栄時代の状況に戻しました。
中国も、これまでのアメリカの下請けという経済構造を変換し自立経済に向かおうとしているのですが、日本もそれに協力することになればアジア圏の経済構造が出来上がるわけです。
安保体制についても、在韓米軍の撤退が話題となるなか、実は在日米軍もその方向を検討されているとか。
田中さんはトランプを「覇権放棄屋」と呼んでいます。
アメリカ・ファーストとは、他の世界各国にはもはや関与しないということかもしれません。
安倍政治についての次の文句は信じがたいものですが、そうとばかりも言えません。
戦後日本の国会議員の究極の任務は、官僚の隠然独裁体制と、その背後にある対米従属体制の打破である(増殖する官僚あがりの国会議員の目的は、それと正反対の「官僚独裁の恒久化」だろうが)。戦後の対米従属からの自立は、一度も成功していない。田中角栄がニクソンにそそのかされて日中友好・在日米軍撤収の了承をやりかけたがロッキード事件で潰され、その後09年の鳩山小沢政権が対米自立とアジア接近を試みたものの官僚やマスコミに潰された。 (多極化に対応し始めた日本) (日本の権力構造と在日米軍)
安倍も昨年まで、ずっと官僚の言いなりの指導者だった。だが、昨年来の動き、そして今回の訪中による対中和解の顕在化を見ると、田中角栄も小沢鳩山も道半ばで潰された日本の対米自立・官僚独裁からの離脱を、トランプに加勢してもらっている安倍晋三がやるかもしれないと(楽観的に)思えてくる。世界的に、昨今の対米自立は、左からより右からの方が成功できる。トルコのエルドアンや、イスラエルのネタニヤフと同様、安倍も、独裁的な長期の権力を手にした後、これまで困難だった自国の地政学的な方向転換を進めていける状況になっている。
本当に、安倍がそこまでの意識と覚悟を持っているか怪しいものと思いますが、もし万が一にもそれが事実なら、今後の展開は面白いものになるのかもしれません。
まあ、田中さんの文章も、「(今後どうなるか)まだわからない」で結ばれていますので、実際まだどうなるか分かりません。
しかし、そうであるならば彼の憲法改正も別の意味を持ってくるかもしれません。