注目している二人の論客が、対談をしたという本ですので期待しましたが、予想通りです。
2015年の出版ですので、まだトランプ大統領が決まる前のもので、ヒラリー・クリントンが大統領と予測されていますが、これはかえって良かったということでしょうか。
本書ではヒラリーが大統領になった場合の危険な予想ば強調されていました。
このようなお二人が、安倍政権、イスラム国、ウクライナ問題、ヒラリー・クリントン、行き詰まる日本経済について裏の裏まで見通して語っています。
安倍政権誕生に至る民主党政権の打倒にはやはりアメリカの仕掛けがからんでおり、反小沢クーデターが致命的でした。
現在は安倍の官邸主導という名の独裁政治となっており、大企業優位のまま中小企業はつぶす戦略、官僚を各省の課長クラスまで直接支配といった行動に出ているそうです。
安倍は普通の民主主義国とは波長が合わないとも言っています。
それで、仲がいいのがトランプ・アメリカとロシアだけなんだ。
まだヒラリー・クリントンが大統領選優勢という状況だったためか、ヒラリーの危険性について強調されています。
ヒラリーは人道主義的介入主義者というべきで、積極的に海外へ軍事介入をするという思想を持っています。
これは共和党のネオコン系とも通じるものであり、それが裏で手を握って世界中で紛争に介入しかねないということです。
今、世界が不安定になっている要因は、この第4世代ネオコンとヒラリー派、統一教会だそうです。
この当時はちょうどトマ・ピケティの「21世紀の資本」が人気だった頃でした。
この本も最後はピケティについての対談です。
副島さんもピケティはカール・マルクスの再来と評価しています。
しかし、問題点もありそれは最後の結論とか。
大企業の暴走を食い止めるために、資本税といったもので彼らの儲けを回収するということですが、副島さんによればこれは国家ファシズムとでも言うべきものにつながることになります。
課税により富の再配分をしようとする行為は、国家社会主義とも言うべきものであり、今でも思い上がって課税を言う国税庁のような連中にさらに大きな権力を渡すことに他ならないとか。
この最後の部分は、私もそう考えていただけに衝撃的です。
確かに、大企業の暴走を食い止めるために課税強化して膨れ上がった内部留保を取り上げるのは、逆に見れば課税する政府の権限を限りなく強化することです。
だったらどうすればよいのか、迷いが深まります。