爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「大隕石衝突の現実 天体衝突からいかに地球を守るか」日本スペースガード協会著

2013年2月15日、ロシアに隕石が落下しましたが、各地で撮影された動画が公開され衝撃を受けた人も多かったでしょう。

また、6500万年前の恐竜の絶滅は、ユカタン半島付近に落下した直径約10kmの小惑星の衝突によるという学説がほぼ認められるようになっており、またそこまで大きくなくても各地に隕石衝突の跡のクレーターが残っています。

 

このような天体衝突という現象は、これまでも何度も起きている以上、これからも起きる可能性があると言えます。

その時には人類は何もできずに絶滅を待つのでしょうか。

 

天体衝突と言いますが、ごく微小な天体は毎日のように地球に降り注いでいます。

地表まで到達するのはほんの一部の大きなものだけで、ほとんどは大気圏で燃えて無くなってしまいます。

流れ星というものもその一種と言えるでしょう。

また、大気を持たない月を見れば多くのクレーターが天体衝突の事実を証明しています。

 

それでは、地表にまで到達し被害を出すような天体の衝突というものはどの程度の頻度で起きるのでしょうか。

ある程度以上の大きさで地球と衝突する可能性がある天体といえば、小惑星がそれにあたります。

その多くは火星と木星の間に著しい数のものが存在しています。

そのような小惑星は、これまでは一定の楕円軌道で太陽の周りを回っているのですが、様々な外力で時折軌道を外れ、小惑星帯を飛び出すことがあります。

それが地球の軌道と重なる場合に地球との衝突という事態になるということです。

 

また極端に長い周期の軌道を取る彗星も、いままで見つかっていないものが発見されそれが地球の軌道と重なる可能性もあります。

1994年に木星に激突した、シューメーカーレヴィ第9惑星と呼ばれるものは、軌道上で壊れていき分裂した破片が次々と木星に落下するという、興味深い運動をしました。

このような事態が地球にも起きないとは言えませんが、その頻度は極めて低いものです。

 

今後、地球に衝突するような天体があるのかどうか、多くの天文学者小惑星を観察し、その軌道を計算して地球に近づく可能性を調べています。

その大きさと衝突頻度とは密接に関係し、直径3m程度のものは数ヶ月に一度、10mくらいのもので数年に一度は衝突していますが、ツングースカの爆発を起こした直径50-100m程度のものは数百年に一度、恐竜を絶滅させた10kmクラスのものは1億年に一度といった具合です。

 

このような小天体が地球に衝突した場合、どのような現象が起きるのかは実ははっきりとは分かっていません。

様々な実験や、核爆発の観察などである程度の推測はできるのですが、それでも衝突した時に起きる現象はまだ不明です。

それでも直径10kmの衝突では1億メガトン級の爆発、1kmでも10万メガトン、100mでも100メガトンと、人類が今保有している核爆弾の総量(2300メガトン)と比較しても大変な爆発力があると考えられます。

直径500m以上の天体が衝突すれば、人類文明は壊滅の危険性があると言えそうです。

 

それでは、もし小天体の軌道が地球との衝突を予測できるものであったらどうするか。

その天体を破壊するというのは、かえって無数の小天体を生み出してしまい危険性が増します。

何らかの方法で軌道をずらすというのが生き延びる方法になりそうです。

色々な手段が考えられていますが、一番可能性が大きいのは核爆発ということです。

ただし、それに要する核爆弾の量は大量であり、そのために核爆弾を保有し続けることが良いのかどうか、それよりも核爆弾は一旦廃棄するほうが良いようです。

 

夢のような話ですが、この時にも実際に小惑星の観測をしている人たちがいます。

彼らの努力に感謝しましょうか。