最近読んだ本で、アフリカから出発した現代人の祖先はその後しばらくは南アジアで過ごし人口を増やしていたと知りました。
そこからさらに他の土地に移った人々のうち、インド・ヨーロッパ語族と呼ばれる人たちは再びインドの地に戻りそこで暮らしていくことになりますが、以前からずっと南アジアに居た人々も残っており彼らも混ざり合って暮らしています。
インダス文明を作った人々も、アーリヤ人も、ヒンディーもイスラムも混合したものが南アジアなのでしょうか。
そういったインドやパキスタンなど南アジアと呼ばれる一帯の歴史について、さすがに一人で書くわけにも行かないのか多くの方々の共著で南アジアの古代から現代までを通して書かれている歴史書であり、これ一冊読めばほとんど知った気分になれるかもしれません。
とはいえ、私は近現代史はあまり興味がありませんのでその辺は飛ばし読みです。
本書はインダス文明から書き始められています。
その古代文明と言いながら他の3箇所とはかなり異なる特性についても触れられています。ただし、ごく最近読んだインダス文明の最新の研究成果の本と比べると、それ以前の知見による記述になっているようです。
インダス文明を直接継承するものはなかったようで、その後しばらくしてからインド北部にはアーリヤ人による都市文明が栄えるようになります。
その聖典にちなみ、リグ・ヴェーダ時代と呼ばれるそうですが、そこで今につながる身分制社会、仏教・ジャイナ教の成立といった、よく知られる古代インド文明が生まれます。
その後はマウリヤ朝、グプタ朝、ムスリム王朝、ムガル帝国と昔の歴史の授業で聞いたような気がする国々が続くのですが、ちょっと違うのはそのような王朝の時代でもそれに属さない諸国が結構いろいろとあるところでしょう。
かなり強大であったと思うムガル朝でも南インドは征服できません。
そういったところも複合的社会という南アジアの特性なのでしょう。
なお、本書はイギリスによるインド植民地化以降がその3分の2を占めており、やはり近現代史が主と言える構成になっています。半分を過ぎたところでは第1次世界大戦。
近年急激に発展しているところから、BRICsと言われているインドですが、その歴史を把握するということはかなり難しいことのように思います。