爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「人間の経済Ⅰ」カール・ポランニー著

前に読んだ中谷巌さんの本に(http://d.hatena.ne.jp/sohujojo/20150220/1424380103)引用されていたので読んでみたいと思っていたカール・ポランニーの本がありましたので、目を通してみました。(”読んだ”などとはとても言えない状況です)
カール・ポランニーは1886年にウィーンで産まれたユダヤ人でその後ハンガリーで育ち経済人類学者として研究を始めましたが、その後イギリスに移りました。1964年に亡くなっているのですが、この本はその遺稿集ということで1977年に教え子のピアソン教授によりまとめられ出版されたということです。
日本ではその翌年の1978年に東京大学名誉教授であった玉野井芳郎さんなどの訳で出版されました。
訳者前書きに、「産業社会に生きる我々現代人の市場志向を正面から批判したポランニーの労作はいまだにその巨大な全容が明るみに出されていない」ので「ポランニーの遺稿の中の中心的な部分をなしているピアソン教授の編集の本書を訳した」とありますが、どこがその「正面からの批判」なのか、よく判らなかったと言うのが正直なところです。

本書はポランニーの膨大な知識の中で、経済というものが歴史的にもどのように変遷したかということを述べ、市場と再分配、交換といったことの歴史的な諸形態というものを解説し、さらに市場経済の要素としての交易・貨幣・市場の起源から述べると言う壮大なものなのですが、それを学究的な言い回しの中から読み取ると言うことはかなり困難なものでした。

そんなわけで、もう少し簡単な解説書があればそちらを読みたいと思います。降参。