爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

横浜マンション杭打ち工事データねつ造事件について鋭い指摘

まだ大きな注目を集めている横浜のマンションでの杭打ち工事データねつ造事件で、建築ジャーナリストの細野透さんが日経BPネットに書いておられる記事は鋭い指摘がありました。

国交省の傾斜マンション有識者会議メンバーに要注意! | SAFETY JAPAN [セーフティー・ジャパン] | 日経BP社

新聞記者から今回の関係者の中で一番悪いのは誰かと聞かれた筆者は次のように答えたそうです。

「ユーザーから見れば、一番悪いのは販売主の三井不レジです」

「三井不レジから見れば、設計・施工者責任を果たさなかった三井住友建設です」

三井住友建設から見れば、適正価格・適正工期で発注してくれなかった三井不レジと、杭の施工不良の当事者である旭化成建材です」

旭化成建材から見れば、横浜に特有の凹凸が多い地下地形を考慮するなら、杭を打つ全地点でボーリング調査をすべきだったのに、それを怠った設計・施工者の三井住友建設です」

「ボーリング調査に関して、仮に調査地点の数を三井不レジが制限していた場合には、悪いのは三井不レジです」

 

報道の流れでは旭化成建材の担当者だけが問題であり、その担当した建物のリスト公表ばかりに注目しているようですが、専門家が見れば関係したすべてに問題があるということでしょう。

 

特に、”適正価格・適正工期で発注してくれなかった三井不レジ”や、”ボーリング調査を怠った三井住友建設”といった視点はほとんど報道もされていませんが、確かにこうやって並べてみれば相当な責任はあるものと言えるでしょう。

 

横浜の郊外の複雑な地形と言うのは私も実際によく見て知っていますので、その工事の困難さも想像できますし、それだけに十分な調査を尽くしてやるべきだったというのも当然のことで、それができていなければ施工会社だけの責任とも言えないでしょう。

 

しかし、細野さんの次の指摘が一番でした。

「一番悪いのは、ある意味では、国土交通省の住宅局と土地・建設産業局です」

 

これまでもいろいろな建築に関わる事件が起こりましたが、それに対してマンションを購入するユーザーのためになる対策などを考えることもなく、ただ自らの権益を増すことだけを目指すかのようなことばかりやってきたようです。

 

マスコミにもそこを厳しく突いてもらいたいものですが、期待はできません。