爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「食の世界にいま何がおきているか」中村靖彦著

ここで言う「いま」とは2002年当時のことですので、BSEについてもかなり現状とは異なります。アメリカで未確認だったために立場の違いと言うのも今とは異なるようです。

著者はNHKの解説委員を勤めたあと大学に移ったようですので、ともすれば食の安全性について「危険かも」という立場に行きがちのようです。

2002年というと食の安全を脅かすと言われた数々の事件が頻発した頃です。雪印食品の輸入牛肉偽装事件や数々の偽装行為、中国産ほうれん草などの薬品検出、協和香料の添加物、等々毎日のように報道されていました。
これらの背景には食品企業の姿勢も問題があったのは当然ですが、制度上の欠陥も多かったようです。

当時の一番の関心事であったのか、BSEについての記述がもっとも多くなっています。幸い、予想よりもはるかに少ない人間の発症者数で済んだようですが、危険部位の除去徹底と言うところで小康状態でしょうか。
しかし、その後の展開では病原菌汚染の方が問題のようです。

遺伝子組換えやクローン技術など、大きな問題も山積みですが、新書版の本書では扱いも小さくなったのもやむを得ないかも知れません。