著者はファイナンシャル・プランナーとして多くの人の資金計画などを見てきましたが、老後にいろいろなトラブルに見舞われて財産を失ったりする例をよく見かけたそうです。
そのほとんどが、正しい知識を身に着けていれば防げたはずのものであり、そのためにもできるだけ多くの人に正しい「終活」をしてもらいたいと望んでいます。
この本では、クイズ形式ですがいろいろな終活上の問題を挙げ、基本が身についているかどうかを問うというものになっています。
終活といっても様々な様相があります。
老後の生活設計、介護と終末医療、身の回りの生前整理、葬儀、遺言と相続といったものです。
まず最初の設問は、終活を始めるべき年代は何歳くらいかというものです。
70代では遅すぎ。現役世代である50代から始めるべきであるとしています。
読んでいって、自分でも知らないことが多いのには驚きました。
高齢になったとき、「成功体験」にすがりついていると、現在の自分の存在価値を見失ってしまうことにもなりかねません。
それよりも「小さな幸せ体験」を大切にしたほうが日々を喜んで過ごせるそうです。
「自分史」というものを書く人も増えていますが、それよりも簡単にできる「ミニアルバム」を作ったほうが周囲の人の参考にもなります。
老後の介護や看護をする人たちも、その人の自分史は読む暇もありますが写真ならさっと見て把握できるので参考にしやすいのだとか。
葬儀の際の遺影用の写真は自分で準備しておくべきだそうです。
「あまり若い写真では」とためらう人もあるようですが、それほど近い写真でなくても良い写真を出した方が良いそうです。
さらに、亡くなってから葬儀までのわずかな時間で遺族に写真を選ばせるというのは非常に大変なことであり、バタバタのままあまり良くない写真で間に合わせるということになりがちです。
実際に、著者御本人も実父の葬儀の際に時間の迫る中、手近な写真を渡してしまい、ピンぼけで後々まで後悔したそうです。
葬儀社の見積もりもしっかりと目を通す必要があり、特に「葬儀一式」の費用のなかに「立て替え金」が入っていないことが多く、100万と思っていたのが200万請求されたということもよくあるそうです。
「葬儀一式」はその業者が直接手配するもので、別の業者に依頼する「立替分」というものがかなり発生するということです。
それをきちんと説明する業者も居ますが、はっきりさせないところもまだまだ多いとか。
色々と勉強になるものです。