地理に関する様々な記事からなる、月刊「地理」の4月号です。
今号の特集は「災害をどう記録しどう伝えるか」
地震や水害、そして原発事故まで災害というものは時折起きては人々の生活を破壊しますが、その被害をできるだけ少なく留めるためにも災害の記録というものは必要でしょう。
そして、それを理解しやすい形でまとめるためには地図などを用いる地理学的手法というものが有効であるものと言えます。
この特集では主に東日本大震災の被害について大学や防災科学研究所の研究者が最新の情報を紹介しています。
中では鹿児島大学の岩舟昌起さんが「避難行動」について書かれた記事が興味深いものでした。
その他の記事では、関西大学の木庭元晴さんが書かれている「飛鳥川争奪と斉明期の付替え」というのが面白い内容でした。
奈良盆地南部には飛鳥川という川が流れていますが、どうやらその流れが人工的に変えられたことがあったようです。
その周辺を詳細に検討していくと、どうやら7世紀には元の飛鳥川が付け替えられて現飛鳥川に流れるようにされていたようで、それ以前に飛鳥川の水を巡る争奪戦があったとか。
水争いというものが大きな諍いとなったということは知られていますが、それがはるか古代からあったということでしょう。
元高校教師という、蟻川明男さんがアメリカの州の名前について調べた記事も興味深いものです。
アメリカはもちろん先住民族が多く住んでいたところにイギリスをはじめとするヨーロッパ各国からの移住者が押し寄せ先住民族を追い払って国を作ったのですが、その地名には先住民族の付けた名前を使っている例がかなり多いようです。
東部には少ないようですが、中部から西部にかけての州の名には
ミシシッピ(ミシ:大きな、シッピ:川)、ミズーリ(ミス:大きな、ウーリ:カヌー)、と大きいという意味のミシ、ミス、マッサという言葉を残したものがあり、
また、先住民族の民族名がそのまま残ったものとして、
テキサス、ダコタ、カンザス等があるようです。
地理という、広い範囲を扱う学問の目を通してみるとなかなか面白いものが見えそうです。