この著者の本は現在であれば金を出して買うどころか、図書館ででも手に取ろうとは思いませんが、以前は私も初心だったのでしょうか。買ってしまいました。
20年ほど前の、バブル崩壊後10年近くが経過し、まだその後始末もできていなかった頃の本です。
あのバブル経済が国家の興隆と見えていたとすればそれも的外れなのですが、たしかにその後の社会は「衰亡」というのが一番似合っていたのかもしれません。
そんなわけで、これが「日本という文明の衰亡」であるとして、かつての「大英帝国の衰亡」や「ローマ帝国の衰亡」といったものと比較しながら、文明の衰亡というものを論じています。
20世紀初頭の大英帝国の社会状況は、たしかに現代日本と共通のものも見られたようです。
たとえば、都市生活を享受するばかりで海外赴任や地方へ行くことを嫌がる若者たちの出現、それでいて海外旅行の大ブーム、文字よりもマンガ、宗教が退廃し新興宗教が流行、女性の進出現象などなど、それが国の衰退の一つの形なのかもしれません。
それではどうすれば再生できるのか。
松平定信の改革が持ち上げられたり、戦後の成功体験の伝承が必要とされたりしていますが、はっきりとしたものは読み取れませんでした。
まあ、再生などは難しいということでしょう。