爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「西アジアの歴史」小玉新次郎著

講談社現代新書の中の新書東洋史というシリーズだったものの中に第9巻ということですが、この一冊のみを買って読みました。初版は1977年発行ということですので、現代の部分はもはや歴史の中に入りかけていますが、まあ古代の部分には変わりはないでしょう。

中近東からエジプトまで含めた地域は現在でも国際政治でも経済でも大きな注目を集めるところで、最近のニュースでもパレスチナやシリア、イラン等一日でも欠けることなく話題に上っています。
これは、石油の産出が世界の大部分を占めているということもあり、またユダヤ教キリスト教イスラム教の現在の世界の大半に影響を与えている宗教を生み出した地域であるということも理由になるでしょう。
そのような地域の歴史というものを概観だけでも見ておくのも良いことかも知れません。

西アジアでは古代文明の中でももっとも古いといわれているメソポタミア文明を生みましたが、その後もヨーロッパが優勢となるまでは一貫して先進地域であり続けました。近代以降は文化的な重要度は減ってしまいましたが、今度は石油を産出するということで世界の文明を制する運命になったということは偶然かもしれませんが、興味深いめぐり合わせです。

主役は何度も入れ替わってきたようで、最初の文明のシュメール人は系統も不明ですが、その後セム系に移りさらにペルシャに重心が移るとアーリア人が主になりました。しかしその後イスラム教が他を圧倒するとアラブ人が主役となります。イスラム国家の中でもその座は移動しトルコ人が主役になり近代まで続きました。

現代では欧米の干渉も強く、イスラエルの存在もあり、またイスラム教内部の争いも多く混乱がひどくなっています。その歴史というものも頭の中に入れておく必要はありそうです。