爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「眠りにつく太陽 地球は寒冷化する」桜井邦朋著

NASA主任研究員から神奈川大学教授、学長などを勤めた桜井さんは太陽物理学が専門ということです。
地球の気候を左右する一番の要因は太陽の活動にあるとは思うのですが、その詳しいことはなかなか分からないようです。しかし、黒点の数の増減というのは1755年からよく記録されていて、その相対黒点数というものが11年のサイクルで増減していることは明らかです。
しかし、その少し前の17世紀からの約70年間はほとんど黒点の見られない「無黒点期」と言われるものだったそうです。そしてその時期は非常に気温の低かったという時期にも当たっていました。これをマウンダー極小期というそうです。
また、太陽の自転周期も増減することがあり、これは自転が遅くなった時の方が太陽活動が上昇しているそうです。そして2003年からこの自転周期も加速しているようなので、太陽活動の低下と言うことが考えられると言うことです。

太陽活動の強弱と地球の気候との関係と言うものは完全に証明されているわけではないようですが、素人が考えても密接に関わるだろうと言うことは分かります。
それは地球の磁場に対する影響というところに現れているそうで、それが宇宙線の地球への到達を左右するからと言うことのようです。宇宙線が磁場に邪魔されること無く到達することにより雲の発生を促し、それが太陽光線による温度上昇を妨げると言うことのようです。

太陽活動周期24番目というのは2007年には上昇が始まるはずだったようですが、その兆しは無いということです。これはもしかすると活動の周期的増減が繰り返されていた時期が終わり、また17世紀のような極小期になったのかもしれないというのが著者の推定です。
研究者によってはこれは「小氷河期」の開始かもしれないと言う人もいるそうです。

去年に引き続き今年も厳しい冬の寒さです。著者の推定が合っているのかどうか、この先の気候が心配です。
なお、夏の気温が上昇しているということもありますが、これは太陽活動が低下していても有り得るのではないかと言う著者の意見です。大陸内部の乾燥化により起こるかもしれないそうです。
冬の厳しい寒さも温暖化の表れと言うことを言い張る人もいますが、どちらが正しいのでしょうか。

なお、この本の主張が二酸化炭素温暖化の理論と相反することで、この本を口を極めて罵っている人も居るようです。これもどちらが正しいのか分かりませんが、その態度は興味深いものです。いずれははっきりするのでしょう。