ブラックユーモアという分野で知られ、星新一さん亡き後はショートショートでも第一人者という阿刀田さんが世界名作について書かれた一連の作品の一つです。
ガリバー旅行記といってもあらすじは知ってはいても読んだことがあるという人はほとんどいないでしょうね。
作者のジョナサン・スウィフトは18世紀のアイルランドの作家ですが、当時の極めて悲惨なアイルランドの状況下では批判精神を風刺にこめるというのは当然のことかもしれません。
小人国、大人国はまだしも、空飛ぶ島や馬の国では相当な社会風刺がこめられているようです。今となってはその対象も力を失い風刺の切れ味を実感することは難しいかも知れません。
なお、スウィフトでは「貧困児処理法」や「奴婢訓」などさらに過激なものもあるようです。