爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「道徳論のゆくえ」

前文で道徳的にみて現在のような化石燃料を使い尽くすようなやり方は間違いということを述べました。これは二酸化炭素排出云々という”科学的”論争とは関係がありません。後世の子孫たちのことを考えずに現在の経済のみを考えているとどんどんと付けが大きくなり、子孫に大迷惑をかけることになりかねない(ならないかもしれませんが)ということですが、まあその目的のためには温暖化論者と共闘しても構いません。

とはいえ、まさか「それではエネルギー使用法を考え直そう」なんていう風に話が進むなどとは夢にも考えておりません。経済活性化のためならば、あれほど真剣に怖さを思い知った原発再稼動も”まあいいか”となってしまう国民のことですから、そのまま地獄に向かって進むでしょう。一つだけ起こり得ることは、「あまりにもエネルギー供給逼迫が早く起こってしまい、急激な価格高騰が起こる」事態で、そのため否応なしに社会構造全体を調整せざるを得なくなるということです。こうなると”しぶしぶながらも”エネルギーを使わずに済む体制に移行せざるを得ません。しかし、エネルギー産業側もそう馬鹿ではないのでそうならないように何とか調整していくでしょう。結局何らかのタイミング(中東の戦争や米中間の対決など、戦争絡みでしょう)で急騰し、大混乱になる可能性が強いといえます。

しかし、そうした破局的局面が来るまでにも、徐々にエネルギー価格が上昇していくのは確かです。円安のせいで石油価格が上昇しやっていけないという声が特に漁業関係から上がっていますが、運輸業者や農業でも苦しいのは同様でしょう。このように直接石油製品に依存している業界から先に悲鳴が上がるのは当然ですが、社会全体に苦しさが広がっているのは間違いありません。今後はおそらくそれらの業界から廃業者が続出し、その結果ようやく製品価格、運送料等が上がっていくことになるでしょう。そうしてようやくデフレ脱却、インフレ突入(一気にハイパー)となるでしょう。その時は現在の国民の多くが夢見ているような誰もがおこぼれに与る好景気などというものではなく、ほとんどの人間が苦しむような状況になるはずです。
それでもそうなっても石油価格は落ち着きはしません。なにしろ供給が細っているのですから。ますます厳しくなる一方でしょう。そうなるくらいなら今のうちからエネルギー非依存社会の構築に移行したほうが良いのですが。