爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「地名の世界地図」21世紀研究会編

以前に「人名の世界地図」という本を読みましたが、その地名版の文春新書です。
21世紀研究会というのは匿名になっていますが、相当詳しい人達とみえて、世界各国の地名について詳しくその由来などを記してあります。

人名というのは各民族であまり変わらず(日本は別)その民族が居住地を移動したとしても不変であることが多いようですが、地名はそれを付けた民族が居なくなり別の民族が住むようになっても変わらない事も多いようです。
ケルト人は現在ではアイルランドウェールズに残るのみですが、元々はドナウ川上流からアルプスの北側、フランスに広く住んでいたのが、ローマの発展とともに段々と追いやられ、さらにゲルマン人の移動でイギリスに押し込まれてしまいました。しかし、各地にケルト語に由来する地名が残っており、アルプスというのも岩山というケルト語、レマン湖ケルト語だそうです。

イングランド北東のヨークという都市がありますが、これもブルトン人のエブロスという名をローマ人が地名とし、サクソン人が入ってくるとそれをエオボルビクと呼び、バイキングはイオルクと訛って読み、それが現在のヨークとなったということです。それがアメリカでニューヨークと使われたということで、いろいろな民族の間で変遷を遂げたということです。

日本でもそういうことは関係ないかというとそうでもなく、北海道にはアイヌ語由来の地名が多いようですが、東北や関東でもその疑いがある地名はいくつもあるようです。

ただし、この本には触れていませんが、最近の変な新地名でこのような歴史を断ち切ってしまうのはいかがなものでしょうか。