内科医NATROMさん(最近のペンネームは”名取宏”)のブログより、「副腎疲労」と言う疾患?についての記事が興味深いものでした。
記事の後半にあるように、「副腎疲労」とネット検索すると、その上位には多くの医者の解説や、サプリメントなどの販売業者の広告がほとんどで、この疾患の存在にはまったく疑問がないように見えます。
しかし、実際にはこの「副腎疲労」なるものにはそれほど明確な根拠はないようです。
記事の最初に書かれているように、アメリカ内分泌学会も副腎疲労という疾病の概念を認めておらず、このように診断し治療する医師に対して注意をするように喚起しています。
ひとつ紛らわしいのは、「副腎皮質機能低下症」という疾患は存在し、確実に定義されその治療法も確立されているということです。
そのため、この疾患の前段階のように思わせることで副腎疲労なるものも確実と見せかけられているとも言えます。
もちろん、NATROMさんも強調されているように、「副腎疲労」なる疾患が存在しないと言っているわけではなく、現在はまだ不明確ということです。
NATROMさんは、他にも「現状では根拠が不明確な疾患」として、PATM(他人にアレルギー症状を起こさせる疾患)や慢性ライム病を紹介し注意を喚起してこられました。
これらの疾患も今回の副腎疲労も、その特徴としてそれを主張している人々が医師や病院などの「専門家」であるということがあります。
そのため、一般の人からは信頼すべきものとして認められるということになります。
医師といえどその主張はすべて妥当であるとは限らないと言うことには注意が必要のようです。
特にマスコミ・メディアが彼らの主張を鵜呑みにして報道してしまうという例はよくあることですので、これにも気をつける必要がありそうです。