爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「世界から消えた50の国」ビョルン・ベルグ著

これまでの世界で一瞬でも存在した「国」というものは多数でしょうが、この著者のベルグ氏は独自の基準で「国の存在」を決定し、その基準で一応存在したとされる50の国々(ただし、その期間は1840年から1975年まで)について記述しています。

 

彼の採用した「国があったという証拠」は、まず「切手の発行」、ついで「目撃者の証言」そして「歴史学者の解釈」です。

この最初の条件は、あまり見たことがありませんが、確かに国と言われるものはだいたい切手を発行するものでしょう。

それ以上に、この条件を特徴づけるものが、「本書で取り上げた50の国の切手を、著者は全部持っている」ということです。

 

いや、本当のことを言えば、「著者が持っている切手の発行国をこの本で取り上げた」という方が実態に近いかもしれません。

 

2,3番目の条件を、あまり満たしていそうもない国、「サウスシェトランド諸島」というところは、国民が一人もいませんでしたが、切手は生意気にも発行しており、それを著者が入手したというところです。

またたった2週間で消失してしまった「東カレリア」も、その切手を著者はしっかりとコレクションに入れています。

 

どうも、3条件とは言っているものの、実際は「著者が持っている切手の発行国」を記したもののようです。

 

そのような条件の中ですが、日本に関わるところでは「満州国(1932-1945)」と「琉球(1945-1972)」を挙げています。

どちらも、確かに切手を発行していたのは間違いなさそうです。

琉球については、かつては独立の王国であったことも、明治になって日本に併合されたことも間違いなく記されています。

そして、琉球を占領したアメリカ軍は「解放軍として歓迎される」と考えていたということも目新しい観点です。

しかし、その期待はすぐに消え去り、日本に忠誠を誓うものばかりであったということです。

 

一瞬の内に消え去った国、それは幻のようなものも多いのですが中には消えるのが惜しまれるものもあったようです。

 

世界から消えた50の国 1840-1975年

世界から消えた50の国 1840-1975年