FOOCOM.NET解説によれば、加工食品の原料原産地表示に関する検討会の報告書につながる事務局案が10月5日に出されたそうです。
このまま行けば、全加工食品には原料原産地の表示が義務付けられるということになります。
しかし、この解説に見られるように、この案は例外だらけのもので、このようなものを表示しても消費者の誤解を招くばかりではないかというのがその意見です。
現状では22食品群とその他の4食品のみに原産地表示があるのみで、それ以外には表示義務はありませんでした。
しかし、国産を買いたいという消費者要望もあり、またTPPで輸入食品が増加することに対しての国内生産者向けのポーズもありこのように原料原産地表示をすべての加工食品で義務化するということになりました。
これまで加工食品に原産地表示が難しかったのは、記事中にもあるように原料原産地というものが非常に変動が激しく、常に価格の見比べ、量の確保という面から各地の原料に渡り歩くことが多かったからです。
ともすれば虚偽表示につながりかねないだけに、食品製造者側からは大きな反発を受けていました。
そこでこのような内容の「全加工食品表示義務化」の案が出てきたわけですが、どうやら報道各社はその問題点も分からなかったようで、はっきりとニュースで評価できなかったようです。
FOOCOM.NET記事にあるように、「例外だらけ」の規定となっています。
例外表示として認められるのは、「可能性表示」「大括り表示」「中間加工原材料表示」ですが、どれもが不明朗になりやすいものばかりです。
可能性表示とは、複数の国からの輸入でどれが多いとは決められない場合に「又は、又は、」でつないで表示するものです。量的なものが分からなければどこが多いとも判断できません。
大括り表示では、複数の国からの原料が変動する場合は「輸入」とか「輸入または国産」とか表示できるというものです。これなど何の意味があるのか判別不能です。
中間加工原料表示というのは、原料原産地が特定できない場合は中間加工した国を「製造」という形で書けば良いということになります。
問題は、例外といいながらどうやら7割が例外となりそうだということです。
特に、ほとんどが中間加工原料表示にせざるを得ないという情勢になりそうで、そうなれば「国産」という表示で済むということにもなります。
現行の表示制度では「国産または輸入」という表示はできないことになっていますが、これすら新制度では可能となることになります。
見るからに、「全加工食品表示」としなければならないから、形だけ合わせましたと言わんばかりのザル制度でしょう。
こんな意味のない表示をグダグダと書かれたらパッケージがますます見づらくなり、本当に大切な栄養や添加物表示がどこにあるのかわかりにくくなります。
「カッコだけ」政府の作る制度ですから、「カッコだけ」になるのは当然なんでしょうが、中味を見抜かなければならないのは国民の側です。