前にも一度読書記録を書いた本ですが、最近高校生に英語を教え始めた関係で、ちょっと知ったかぶりをしたくてまたこの本を再読しました。
その目的には最適の本かと思います。
英語は元々のゲルマン民族の一部族のアングル族の言葉から生まれたものの、その後ノルマン族に征服されてそのフランス語方言が征服民族の言語としてかぶさり、複雑な構造となっています。さらに、その上に古代ラテン語の影響も受け、大きく変化をしたという成り立ちとなっているためか、文法、発音、綴の各所にそれらが混ざり合ったものとなっています。
原則があるとはいえ、それが各言語のものが混ざっており、さらにそれが相互に関係しあってまあ「ぐちゃぐちゃ」になっていると言ったほうがふさわしいかも知れません。
誰もが英語を習っていくうちにいろいろと疑問に思ったことがあると思います。それを学校の先生に質問したとしてもおそらくまともに答えてはもらえなかったでしょう。
その答えがこの本にあります。
議会 parliament はなぜ「パーラメント」と読むのか。
これは昔は綴も「parlement」と書いていました。これなら「パーラメント」とも読めるようです。しかし、1550年頃になり当時のラテン語の綴の「parliamentum」に魅せられてparliamentと綴るようになってしまいました。しかし、発音は昔のまま「パーラメント」となるという首尾一貫しない姿勢のまま現在に至っています。
knowのkはなぜ読まないのか。
17世紀頃から読まなくなったそうです。理由としては「発音しにくいから」というだけのことです。
他にも、combのbも発音しにくいから無視するようになりました。
writeのw、castleのtはなぜ読まないのか。
これも17世紀に読まなくなりました。それまでは「ウリート」「キャストル」と読んでいたようです。ただし、一部の方言ではoftenを「オフトン」というように読みが残っている場合もあるそうです。
valuelessが「価値が無い」なのに、pricelessは「非常に貴重」なのはなぜか。
-lessが「ない」ということを表す接辞なのですが、valueが無いのは「価値が無い」なのに、priceが無いのは「価格が付けられないほど貴重」になります。
英語の場合の「ない」は非常に危険な領域ということです。どちらに行くのかその言葉ごとに判断しなければならないそうです。
他にもさまざまな例がのっていますが、自然な発展をしていた時期にもフランス語の影響で大きな変化をしていた上に、その後ラテン語やフランス語の文法を参考にして人為的に変更を加えたという経緯もあり、このようなおかしな体系になってしまったようです。
そういった言語が現在は世界標準とも言えるような言葉になってしまいました。
まああまり細かいことにはこだわらずにツールとして使っていけばよいのかもしれませんが、高度な文学的表現手段としては問題が残るものかもしれません。
それも、そのうち偉大な文学者が出現して世界英語で文学を綴れば解決していくのかもしれませんが。