爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

エネルギー文明論「ガソリン価格が10倍になったら 家庭生活」

ガソリン価格が高騰し、夏休みの帰省や行楽に影響などといったニュースは流れますが、これが最高値とは限りません。いや、さらに高騰は続くと考えた方が良いでしょう。
その価格が今の10倍になったら、これは荒唐無稽な話でしょうか。
現在はリッターあたり170円前後で、これにはガソリン税が53.8円かかっていますので、実質は120円弱といったところです。
ガソリン税暫定税率までかかるようになったのは30年ほど前からだそうですが、それ以降ではもっとも安い時期で90円ほどでした。このときに税抜きの価格は約46円となります。これは1999年のことです。わずか15年前には現在の1/3の価格でした。
そう思えば、現在の価格がさらに上昇し、例えば今の10倍の価格になるということもあり得ない事ではないように思います。

石油価格の上昇の理由はいろいろと言われていますが、中東情勢の悪化とか投機資金の流入などが挙げられています。しかし、実際は供給が徐々に減っていくにも関わらず需要が旺盛なために価格が上がっていくというごく単純な構造だと考えられます。確かに投機の介入によって動きが激しくなるでしょうが、元々火の無いところに煙は立ちません。
そのあたりの詳細はオイルピーク説の解説に任せ、ここではガソリン価格が10倍の時の社会への影響のみを考えたいと思います。

ガソリン価格が10倍といえば、他のエネルギー価格も相当な上昇となっているはずですが、それぞれの事情は異なるものと考えられるので実際は価格の上昇率は大差が出ていることと思います。しかし単純化してすべて10倍としておきます。

まあ一言で言えば、エネルギー価格が10倍になればほとんど現在の社会生活は営めません。
直接の光熱費、ガソリン代だけを考えても、その10倍となれば家計破綻です。今の我が家の家計では電気代が一月あたり約1万円、ガス代と灯油代等で約1万円、ガソリン代も約1万円といったところです。これがすべて10倍になれば30万円、収入をはるかに超えてしまいます。収入が増えるのでなければ、使う量を1/10以下にしなければやっていけません。
さらに、購入する食料品、生活用品などもすべてエネルギー価格の高騰を反映して値上がりするので、価格は暴騰するでしょう。昔の石油ショック時代当時の「狂乱物価」などという言葉が生易しいように聞こえるほどの世相になるでしょう。
価格が上がるばかりでなく、供給量も減少していくことが大きな問題です。ガソリン価格が10倍に上昇と言う事態はすでにかなりの供給量減少になっていると考えられます。燃料が減れば生産活動も減りますのでさまざまな製品の供給量も減っていることでしょう。生活必需品は生産コストの大幅上昇という問題以外に需給バランス崩壊というところからも価格高騰につながるでしょう。

一つの救い?はこのような状態に明日からすぐになるということはおそらくないだろうと言うことです。徐々に、しかし着実に上がっていくのではないかと想像します。対策を取る時間はあると思います。ただし、その方向に間違いがなければ。経済活性化などと言っている限りは有効な対策は打てないでしょう。活性化ではなく鎮静化が必要です。