爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「十字軍物語2」塩野七生著

十字軍物語1ではエルサレムを占領しイスラエル王国などを樹立した第1回十字軍から、徐々に衰退していく状況を梃入れしようと第2回十字軍が発したものの、ほとんど戦いもせずに帰ってしまったところまでを扱いましたが、この第2巻ではイスラム側の反撃です。
サラディンという名は聞いたことがありましたが、その前からゼンギ・ヌラディンという指導者が輩出し、それをさらに超えるサラディンが力を得てきたという、1118年からイスラエル王国を追放した1187年までです。
十字軍を迎えるまで、地域ごとに分かれたイスラム諸国が領地争いを続けてきた状況が、十字軍侵攻を受けて危機感を募らせ、そこで優秀な人材が指導者となったということですが、やはりそんなものなのかと思ってしまいます。
現代でも優秀な人材が出ないとか言われていますが、人材は時代が生み出すものだということなんでしょう。
とにかく、サラディンの力でキリスト教徒を追い出すことができました。しかし、この後さらに戦争は続きます。

なお、サラディンは昔も今も少数民族として虐げられているクルド人です。これも示唆に富む話です。