爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本史の一級資料」山本博文著

東京大学史料編纂所教授の山本さんが歴史資料について書かれたものです。 導入部は江戸時代(少し前も含みますが)の有名な2つの事件についてですが、宮本武蔵に関わるものと赤穂浪士討ち入りの比較です。宮本武蔵の生涯に関しては数多くの小説が出ています…

飲酒運転根絶

秋の交通安全週間に入り、安全運動も盛んに行われています。 今年の運動の重点は3つあるようですが、その一つに「飲酒運転根絶」が挙げられています。 これだけ引き続き根絶運動が行われ、また報道されるだけでもその違反者に対する懲罰が厳しいものである…

「未来のおもいで」梶尾真治著

タイムスリップ物ですが、その年差が27年と微妙なところです。そこで、前の時代に属する主人公が後の時代のヒロインに会いに行くとその両親がちょうど子供を産んだところということになり、またヒロインが主人公の事跡をたどると直接知り合っていた人にも…

「商品化された教育」佐々木賢著

この本には著者の紹介がなかったのですが、調べてみると高校教諭をされた後、教育評論家として活躍されている方のようです。 教育についても規制緩和と民営化という動きがありますが、すでに先んじてイギリスとアメリカで実施され、さまざまな問題が噴出して…

「ルネサンスとは何であったのか」塩野七生著

ルネサンスと言うとイタリアで15世紀の頃に起こった芸術の運動と言うイメージですが、実はそれに留まらず宗教や政治方面でも同じような精神活動を基にする動きがあったようです。 作者がルネサンスの最初の動きとして挙げているのは、13世紀のキリスト教の改…

「内部告発の研究」六角弘著

著者は新聞記者を経て週刊文春の記者として、特に企業犯罪関係の取材を多くなされ、内部告発に関する資料もたくさん集められているそうです。 最後に書かれていますが、このような資料を「六角文庫」と名づけ維持しているそうですが、そこの閲覧をしに来て、…

「戦争で読む”ローマ帝国史”」柘植久慶著

軍事評論家で、昔傭兵部隊にも居たことがあるという柘植さんのローマ帝国の関わった戦争についての記述です。 塩野七生さんの「ローマ人の物語」も通読しましたが、ローマは建国から滅亡まで歴史がよくまとめられており、その戦争の内容も記録されているため…

「妻が横に立っている」上前淳一郎著

評論家・エッセイストの上前淳一郎さんが、週刊文春に長く連載していた、「読むクスリ」というエッセイの第36集ということです。 いろいろな話題を取り上げていますが、週刊誌の連載なら毎週載せなければいけないでしょうから、相当大変な仕事だったのでし…

「ダルタニャン物語11 剣よ、さらば」アレクサンドル・デュマ著

ダルタニャン物語も最終巻となります。別れと死の連続です。 国王のすり替えと言う陰謀を首尾よく果たしたアラミスはフーケ財務卿に秘密を明かします。しかし、フーケはその陰謀に加担することを拒み、バスチーユにルイ14世を迎えに行きます。 その間にアラ…

「おもいでエマノン」梶尾真治著

エマノンシリーズとしてファンの間では相当有名だと言うことですが、その最初になるのでしょうか。表題作が1979年のSFアドヴェンチャー誌掲載、ほかの関連作もそれから数年の間に書かれた物です。 「エマノン」とは主人公の女性の名前ですが、NO NAME を逆さ…

教育論「学生の側の立場から」

社会の立場、特に企業の立場からの人材教育について述べてきたつもりですが、教育を受ける側、学生・生徒、そしてその親の立場から見ればどういうことになるでしょうか。ほとんどの学生そしてその親からの要望は、教育を通して少しでも有利な職を持てるよう…

「ダルタニャン物語10 鉄仮面」アレクサンドル・デュマ著

ダルタニャン物語第3部も佳境にさしかかります。失脚間近のフーケ財務卿を救うためにデルプレー(アラミス)はイエズス会管区長となり、莫大な資金を使えるようになるとともに、会員に対して絶大な力を使えるようになります。その手段として使われるのは、実…

「たいした問題じゃないが−イギリス・コラム傑作選−」行方昭夫編訳

イギリスのエッセイストでは19世紀のチャールズ・ラムが有名ですが、それに続いて20世紀初頭にも新聞や雑誌にエッセイやコラムが数多く掲載されていました。 それら、もう100年近く前になりますが当時の4名のエッセイを紹介したものです。 4名とは、A.G.ガー…

「”わかりやすい経済学”のウソにだまされるな!」益田安良著

経済を分かりやすく解説するという本も多いのですが、経済というものは非常に複雑な要素からなるもので、それを簡略化して説明しようとしても相当違うところが出てしまうようです。それを分かっていながら故意に簡単に言い切ってしまうのはポピュリズムとい…

「わが友マキアヴェッリ3」塩野七生著

副題は「マキアヴェッリは何を考えたか」です。とはいっても全生涯で思考遍歴を辿ったと言う意味ではなく、フィレンツェ官吏を解任された1512年から亡くなる1527年までを編年法でたどっているのですが、いろいろと政治関係の活動はしていたものの、公職には…

「トンデモ本の世界S」と学会編

おかしなことが書いてあるいわゆる「トンでも本」を紹介し続けている「と学会」が2004年に紹介した”S”です。アルファベットにはあまり意味は無いようで、前に出したのが”R”、その時同時に出版されたのが”T”なのでアルファベット順でしょうか。 本書で取り扱…

「”この街”に住んではいけない」中川寛子著

住居アドバイザーの中川さんが住まいを選ぶ際に注意する点について、特に女性を対象に解説したものです。 先祖代々の土地に住んでいる場合は仕方がありませんが、都会などで新たに家を探そうと言う機会は多いと思いますが、意外にしっかりと選ばずになんとな…

教育論「社会に役立つ教育とは」

これまでに述べてきたように、現在の学校教育は基礎知識・一般教養・学究的興味に偏った形であるのは事実のようですが、かと言って産業界にすぐに役立つような教育というのも実現するのは非常に難しそうだというように今は考えています。 この状況をどう変え…

「クロノス・ジョウンターの伝説」梶尾真治著

梶尾さんのタイムトラベルでは、「クロノス・ジョウンター」という独特の装置が登場します。 時を自由自在に飛びまわれるような「タイムマシン」ではなく、非常に限られた機能のものですが、だからこそ細かいところまでのリアリティーが感じられます。 クロ…

「ダルタニャン物語9 三つの恋の物語」アレクサンドル・デュマ著

ダルタニャン物語第3部、ブラジュロンヌ子爵も4巻目に入り、一応ここでの主人公のラウル・ド・ブラジュロンヌの許婚者のルイズ・ド・ラ・ヴァリエールが偶然と国王ルイ14世の気まぐれから恋に落ちていく過程を中心に、宮廷の模様が語られていきます。 その一…

「脱成長は、世界を変えられるか?」セルジュ・ラトゥーシュ著

環境の悪化、生物多様性の減少、石油枯渇などのエネルギー危機など、現代文明は危機的状況になっていると思いますが、これは成長なしにはやっていけない資本主義経済の基本的な性質から生まれてくるもので、これを避けるためには脱成長しかないというのが著…

「資本主義消滅最後の5年」ラビ・バトラ著

非常な洞察力で数々の予測を立て、多くを当ててきたインド出身でアメリカ在住のラビ・バトラさんが、2006年に出版された予言書?です。 第1の予告、原油価格が1バレル100ドルを越える、第2、アメリカの景気は2006年後半から長期のリセッションに入る、第3、…

「ヘタウマ文化論」山藤章二著

山藤さんはかつて非常な人気のイラストレーターで、数々の有名作家の本の挿絵なども手がけてこられました。それら絵画の専門領域から、マンガの状況など見ていると、「ヘタ」な作家のものが席巻しているように見えると言うことですが、よくよく考えてみると…

「わが友マキアヴェッリ2」塩野七生著

マキアヴェッリの第2巻は「マキアヴェッリは何をしたか」という副題のもとに、フィレンツェの官僚として仕え始めた29歳の時から、政変により再びメディチ家の手に権力が渡ることにより解任され、さらにその後反メディチの陰謀加担の疑いで投獄されること…

東京オリンピック開催決定

2020年オリンピック開催が東京と決まったようで、一所懸命招致活動をしてきた方にはお慶びを申し上げます。しかし、テレビで一様に報道されているような万歳万歳という気にはとてもなれません。 言うまでもなく、直接間接の費用は莫大なもので、どこにそんな…

「スピリチュアルにハマる人、ハマらない人」香山リカ著

精神科医の香山先生のところに診察を受けに来る人の中に、医者なら座っただけで分かるだろうとか、前世が見えるだろうとか言い出す変な若い人がいるそうです。 江原啓之という人がいますが、そのブームが象徴的なようですが、昔であれば宗教に頼ったような人…

教育論「産業界に必要な人材」

日本の教育がいかに産業界に必要な人材育成という面から見れば不十分かと言うことはすぐに判りますが、かと言ってどうすれば良いかと言うのも難しそうな話です。 アメリカではMBA(経営管理学修士)という学位があり、それを取得した者は即戦力として高給で採…

「ダルタニャン物語8 華麗なる饗宴」アレクサンドル・デュマ著

ダルタニャン物語第3部ブラジュロンヌ子爵の3巻目になります。 このあとの展開の関係で、バスチーユの獄吏ベーズモー氏の借入金の話や、アラミスがフランス王家の秘密を使ってイエズス会の管区長となる話も入ってきますが、話の主流はルイ14世の宮廷で、…

「時の風に吹かれて」梶尾真治著

1998年から2005年にかけて色々なところで発表された短編をまとめたものです。 表題作はタイムトラベルものですが、他の作品の内容は様々で、特に決まったテーマもないようです。 短編ですので、それほど多くのタネを仕込むと言うわけにはいかないの…

「収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学」ポール・コリアー著

オクスフォード大学のコリアー教授は同大学のアフリカ経済研究センター所長も勤められているようです。この本も天然資源の宝庫と見られがちなアフリカの開発と経済向上を主題にしながら、天然資源枯渇の問題も含めて議論されています。 そのためか、少々論点…