科学ライターの竹内さんが「数式」というものについて紹介されているものですが、扱われている数式はかなり高度なものが多く、数学や物理の専門家でなければ本当の意味はわからないものかもしれません。
しかし、あくまでも美術館ということで「見て楽しむ」という姿勢で行けばそこそこ楽しめる?かもしれません。
なお、私も一応理系ですが数学物理は大学の一般教養程度までしかやっていませんので、もちろんこの本に取り上げられているものはほとんど意味が理解できません。
まあその程度の内容ということで。
最初に挙げられているのは「E=mc2」(2は乗数)です。
もちろん、アインシュタインの相対性理論に出てくる有名なものです。
このくらいはなんとか聞いたことがあるのですが、
その次の
「⊿p×⊿x≧h/2」 (”h”は本当は”エイチバー”)
になるともう聞いたことすら覚えていません。
これは、ハイゼンベルグの不確定性原理の基本だそうです。
「運動量の測定誤差と、位置座標の測定誤差を掛けたものはエイチバーの1/2以上になる」というものです。
こういった調子で続けられますので、読み進むのは簡単ではありません。
そういった中で挿話として興味深かったものだけ数点紹介します。
指数関数は微分しても変わらないという項目の中で、フーリエ変換について触れているのですが、著者は昔広告関係の分析の仕事をしていたことがあるそうです。
そのときに、TVコマーシャルの好感度調査ということをやり、CMの好感度ベスト10とワースト10の音楽のフーリエ変換をしたそうです。
すると、ベスト10のCMの音楽のフーリエ変換は「1/f自乗」となり、ワースト10のそれは「1/f」であったそうです。
(fは周波数)
周波数の自乗に反比例するということは、周波数が高くなると急激に減衰するというものは、高音成分がなく低音が効いているということのようです。
周波数に反比例ということは、高い音が緩やかに減っていくということになります。
しかし、そうなると好感度というのがどうつながるのか、よく分からなかったようです。
ロビンソンの無限小数についての話の中で、
「理数系の人間でも大学に入ってすぐ開講される解析学の授業についていくのは大変だ。実際、数学科に進む連中とほんの一握りの学生だけが数学者である教授の講義についていくことができる」
と、非常に実態をとらえた話がされています。そのとおりでした。
さらに、「イプシロン-デルタ法」(任意の正の実数εに対し、ある正の実数δを取ると実数xが絶対値(x-c)<δ を満たせば絶対値(f(x)ーf(c))<ε を満たす)
は大学初年度でほとんどの人を数学アレルギーに追い込む。
「そもそも論理学すらきちんと教わっていない大学一年生にこの文章を見せて「わからない奴はバカだ」みたいな態度を示せば、みんなが数学嫌いになっても不思議ではない」
これも正にその通りです。
ただし、この「ロビンソンの無限小数」を理解すればこの話も理解できるということですが、どうでしょう。
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まあ、数学というものは嫌いではないんですが、それも大学受験までの数学で、それ以上は良くわからないです。