爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「商品化された教育」佐々木賢著

この本には著者の紹介がなかったのですが、調べてみると高校教諭をされた後、教育評論家として活躍されている方のようです。
教育についても規制緩和と民営化という動きがありますが、すでに先んじてイギリスとアメリカで実施され、さまざまな問題が噴出しています。それらを日本と並べ紹介したものです。

アメリカでは公立学校の効率が極端に低下したため、それに代わるものとしてチャータースクールという民営の学校が作られたそうです。しかし、それは経営効果ばかりを考えたものでうまく機能せず、教育効果を上げるどころか経営自体も崩壊し、教員も居つかず、破綻しているということです。

イギリスでは学力低下の対策として全国一斉の学力テストを実施し、結果はすべて公表ということを行ってきました。しかし、学力向上にはまったくつながらず、テストの圧力で生徒の負担が増しただけのようです。
日本でも結果に不満の県知事が成績の悪い学校の校長名公表などということを言い出し物議をかもしましたが、何を考えているのやら。
学力テストをいくらやっても学力向上には結びつかないようです。それよりも親の経済状態が直接子供の学力に直結しているとのことです。もし学力向上を求めるなら、親が収入の良い仕事につけるようにした方が早いのでは。

学力テストについては、それを民間に丸投げしていることで儲けの種にしている企業があることも問題です。規制緩和などという聞こえの良い言葉もすべてここにつながるということなんでしょう。
明治の産業振興のときにも、国営企業の民間払い下げという手段で財閥へ国有財産の破格値売却を通して金を流しました。それと同じことを今もしているそうです。

教育への民間活力応用などまったく不要でしょう。