爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「鬼平犯科帳(一)」池波正太郎著

亡父の愛読書であったこのシリーズを葬儀の後に形見として貰ってきてから何度か読みました。

それをまた最初から読んでみようと思い立ちました。

全巻揃っていますので、結構時間はかかりそうです。

これがその第一巻、長谷川平蔵が最初に火付け盗賊改め方に着任する直前からの話です。

この中に8編の短編小説が含まれていますが、それぞれ非常に中味の濃いもので、テレビドラマではそれぞれが1時間ドラマになっています。

 

「唖の十蔵」盗人の妻に惚れ込んだ同心の行く末

「本所・桜屋敷」平蔵若い頃に憧れた女性の現在。盟友岸井左馬之助との再会。

「血頭の丹兵衛」元は本格派盗賊であった血頭丹兵衛の急ぎ働き、小房の粂八が密偵に。

「浅草・御厩河岸」密偵岩五郎の苦悩

「老盗の夢」蓑火の喜之助の老いらくの恋

「暗剣白梅香」白梅香という香を着けた刺客、金子半四郎との死闘。

「座頭と猿」二人の盗賊が一人の女に惚れ込み殺しあう。

「むかしの女」平蔵が若い頃に付き合った女が老婆となって現れる。

 

それぞれに味のある作品ですが、スリリングな展開といえばやはり「暗剣白梅香」でしょうか。

闇の世界の依頼を受けて平蔵暗殺を企てる金子半四郎は元はかたき討ちを目指して諸国を旅していたのですが、今は殺し屋。

盗賊からの依頼で多額の報酬で平蔵暗殺を企てます。

最後は平蔵が酒食をとっていた居酒屋で平蔵を急襲して暗殺を遂げようとするのですが、その寸前にその屋の主人に後ろから刺されてあえなく死んでしまう。

その主人が実は金子が付け狙っていたかたきその人だったという話でした。

 

寝る前にベッドに入ってからこの本を読むのですが、ついつい眠れなくなってしまうこともしばしばです。