中国人観光客が大幅に増え、各地で中国語が聞こえるようになっています。
そればかりでなく、仕事や留学などで来日する中国人も増えています。
そのためか、日本人で中国語を学ぶ人たちも多くなっているようです。
そういった日本人のために、「中国人が日本について抱く疑問」というものを取り上げ、それを説明する文章例を中国語、日本語対訳でまとめたのが本書です。
書いたのは、中国出身で現在は日本の大学で教えている張さんと、日本人の翻訳家納村さんです。
日本の地理、気候、観光地などから、仕事上の問題、生活、風習まで広い範囲の事柄について中国人に分かりやすいような文章で書かれていると思います。(中国語はわかりませんので)
そんなわけで、内容について気になったところだけ指摘しておきます。
中国は大きく舵を切り資本主義市場経済を取り入れていますが、政治体制としてはいまだに共産党独裁のままです。
そのため、「三権分立」というものには馴染みがないのでしょうか。
中国人のよく持つ疑問点として「三権分立とはなにか」ということがあるようです。
その中で「三権でいちばん大きな権力を持っているのは内閣ですか?」というのがよくある質問ということです。
これに対し、解答例として「三権分立ではどれかの権力が一番大きいということはありません」という模範解答が書かれています。
しかし「実態は違います。内閣が一番、特に総理大臣に権力が集中しています」というのが本当です。
また、これは誤植かもしれませんが、選挙制度について。
p42に、「ただし、解散が行なわれた場合、参議院は任期に関係なく選挙に入ります」と書かれています。
これはもちろん、「衆議院」であり、参議院には解散はありません。
残念でした。他に事実誤認といったところは見つかりませんでしたので。
こういう本が出版され売れているということ自体、日中関係が広がったことの証なのでしょう。