ロシアがウラジオストクで開いた、「東方経済フォーラム」で、12日の全体会合の席上プーチンが唐突に「前提条件なしに日ロ平和条約を年内に締結」と提案したというニュースは大きく取り上げられています。
これについて、日経ビジネスの中で拓殖大学教授の名越健郎さんが解説しています。
それによれば、プーチンは「今思いついた」などとはとんでもない話で、周到に準備してきた内容だったのですが、ちょうど都合よく安倍が「日ロ平和条約締結に対して努力している」とその寸前に発言していました。
これを名越さんは「大きなミス」と言います。
プーチンはかねてから考慮していた発言を、安倍のミス発言に乗じて発したわけです。
このあたり、プーチンの得意な柔道の呼吸と通じるものがあります。
この発言に対し、安倍はその後に発言できるチャンスが4-5回あったのに何も言えずあのブザマなニヤニヤ顔をさらしていました。
これが名越さんの言う「大失態」です。
これについて、国民民主党の玉木代表は「歴史的大失態」、共産党の志位委員長も「国辱外交」と批判しました。
これがなぜかということも記事中に詳しく説明されています。
「平和条約」というものは、戦争を行った国同士がその後の交渉で領土や賠償金、その他の条件をすべて双方が納得した上で結ぶものです。
したがって、「前提条件なしに」などということはあり得ないのですが、これを持ち出されただけでも「国辱外交」である上に、それに即座に対応できなかった無能ぶりが「歴史的大失態」ということでしょう。
この前の石破との総裁選討論会でもこの話題を取り上げましたが、まったく反省が見えていませんでした。
このような力量で、「外交上手」などと思い上がっているというのは、日本政治のレベルを見せつけているということなのでしょう。
あの場で、どのように返答すればよかったのかは難しいでしょうが、「おお、では無条件で千島列島も返してくれるのですね」とでも言っておけば良かったのかも。
(北方四島などと小さなことは言わずに、「千島列島全部」)