爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「再読:春秋名臣列伝」宮城谷昌光著

中国の春秋時代というと、周王朝の後半の紀元前770年から476年までということです。(諸説ありますが)
商(殷)を倒した武王が西の宗周を都に王朝を建てたのですが、その後幽王の時に滅亡しかけました。何とか東の成周(洛陽)に都を移し立ち上げたものを東周と言うのですが、すでに周王朝の威は衰え諸侯が力を伸ばし気ままに争う時代になっていきます。それでもまだ秩序が残っていたのが春秋時代、それもなくなってしまったのが戦国時代となります。

その春秋時代の著名な人々のエピソードをまとめたものですが、その中でも管晏(管仲、晏嬰)や伍子胥といった有名人もいますが、さほど知られていない人も多くいます。実は春秋時代でも前期のころの話というものはもともと記録も少なかったうえに、その後の戦乱で多くの記録が失われたということもあるようです。
特に、衛や鄭といった国々は春秋時代の早期にはある程度の勢力があり、人物も結構輩出していたのですが、その後国力が衰え戦国の七雄という秦楚、魏や斉といった国々に滅ぼされたために記録がほとんど残っていないようです。
この本にも最初に衛の石碏、鄭の祭足といった人から話が始められていますが、あまりなじみのないということもあり、興味深いものでした。

もちろん、管仲、子犯、巫臣といった他の物語の登場人物についても触れられており、それはそれで面白いのですが。

中国古代の物語といっても春秋戦国のさらに早い時代についてはあまりわかっていないこともあり、確かなものはないのかもしれません。それだけ、作者の好きに作れるということもあるのかもしれませんが。
秦より前の時代の中国に住んでいた人々というのは現代の中国人とはかなり違った人種だったと考えられます。実は日本人にもその血が流れているのかもしれません。その意味では知りたいことがいろいろとある時代ではあります。