爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「贈り物」レイ・ブラッドベリ著

クリスマスストーリーから一つ。
角川文庫版で、翻訳家の長島良三さんが編んだクリスマス・ストーリーの中にあったブラッドベリの短編です。

小説のあらすじを書くということは原則としてしていないのですが、もう古典だから良いでしょう。翻訳にしてわずか4ページの小品です。
火星に移住する若い一家がクリスマスの前夜に宇宙船に乗り込みますが、荷物の重量制限により小さな息子のためのクリスマスツリーは持ち込むことができませんでした。そのため父親は同乗の乗客の助けも借り、クリスマス当日になるまで窓からの星空を見ることをせずにいて、一気に暗くした船内からあたかもクリスマスツリーのような満天の星空を息子に見せてあげるというものです。

クリスマス・ストーリーは欧米の作家なら誰もが書いてみたくなるものなのでしょうか。この本には他にもオー・ヘンリーの賢者の贈り物とか、モーパッサンジョルジュ・シムノンの作品などが収められています。また、アンデルセンマッチ売りの少女も入っていて、それがクリスマス・ストーリーであることが再確認されます。

なお、編者の長島良三さんは今回調べなおしてみたところ、数ヶ月前にお亡くなりになったようです。ご冥福をお祈りします。