以前に買って読んだ本の再読です。
東京大学名誉教授ですでに1975年に亡くなっている堀米先生ですが、この本は1964年(前の東京オリンピックの年です)に出版され、これは1981年の第18版になります。その頃に買ったとすると、私は就職して九州の田舎町で工場勤めをしていた頃です。何を考えてこのような本を買ったのか今となってはほとんど記憶もありません。
おそらく、一般的な思想の話として「正統と異端」という題名に引かれて買ったのでしょうが、この本の内容は中世のキリスト教の異端に関する話です。しかも本の記載方法がきわめて学究的で細部にわたり詳述されていますので、慣れなければ読みづらく、当時はたぶんざっと読み飛ばしてそのままだったのでしょう。
しかし、最近はいろいろとローマから中世イタリアに関しての本をよく読むようになったので、この本の内容もある程度分かるようになっていました。法王イノセント三世が聖フランチェスコ(堀米先生は”聖フランシス”と記していますが)と対談をするというのもキリスト教の異端というものを捉えるときには非常に大きな事件だったのですが、これも他の本で読んでいたのでようやく著者の意図が判った気がします。
昔に読んだ本でも、今になって見返すと違った意味があるかも知れません。