爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「コンスタンティノープルの陥落」塩野七生著

この前読んだ「レパントの海戦」とは順不同になりますが、1453年に起こったオスマントルコによるコンスタンティノープル陥落とビザンチン帝国の滅亡を扱った「コンスタンティノープルの陥落」を読みました。
ローマ帝国の東西分裂からは1000年以上続いたことになりますが、ごく初期にローマから北アフリカまで勢力を回復したことはあるもののそれ以降は徐々に衰退していき、最後はコンスタンティノープル市街のみとなったビザンチン帝国です。ほとんど政治的な勢力はなくなったものの、ギリシア正教の本拠であり、ヴェネッィア、ジェノバという通商国家の中東・東ヨーロッパに向けた基地として大きな存在価値があったことから、最後までヴェネティアやジェノバの市民も防衛戦争を戦います。
しかし、初めて使われたという巨大な大砲のまぐれ当たり(命中精度はほとんど無かったも同然だったようですが)で無敵と言われた防壁も徐々に崩され、最終的にはトルコ軍の侵入を許し、ビザンチン帝国皇帝も討ち死にをして最終的には壊滅します。
コンスタンティノープルイスタンブール)はその後現在まで変わらずにトルコの本拠地、首都となっておりこの陥落が古代から中世までと、近世から現代までのあの地方の存在の仕方を変えた事件であったということになります。

その後、しばらくはオスマントルコの攻勢とキリスト教国の必死の抵抗が続きます。結局レパントの海戦でその勢いが止まり、トルコの衰退に向かっていくことになります。

しかし、古代ローマでは存在しながら、その後激減していたように見える、「事件の記録」がビザンチン側、トルコ側のいずれにも存在していたというのは、やはり近世が始まっていたと言うことなのかもしれないと思います。