爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「中国が笑う日本の資本主義」跡田直澄著

慶応大教授の著者が経済問題、特に政府の関与する政策について初心者向けに解説しているもので、表題も素人が取り付きやすいように付けられているようです。

政府の借金である国債や地方債の残高は巨額になっており危機的と言う見方が普通ですが、そうではないという論者も多いようです。著者はやはり問題が大きく危機が迫っていると説いています。本書出版当時約1100兆ということ(この実態も正確につかむのは難しいということで、そこにも政府の態度の問題点があります)ですが、著者によれば1400兆になると臨界点であろうということです。それは遠い将来ではなくすぐに近づきかねないそうです。

これらの借金の解消に向けた対策が取れないのは、政治というよりは官僚の姿勢によるためで、自己組織の存立だけを求める官僚のために借金の削減どころかさらに増加しているということです。

ただし、最終的な対策としてはインフレ政策が必要で、金融緩和でインフレ誘導ということですので、現政権の考え方と近いものとなっているようです。

表題の「中国が笑う」というのはそれほど深い意味で付けられたものではないようです。まあ「世界の誰が見てもおかしいと思う」というのが正確なものかと思いますが、本の販売戦略なのでしょう。