爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論」橘玲著

橘さんの本は何冊か読んでいますが、タブーも含めて微妙な問題を敢然と述べてしまうという感想を持ったのですが、この本では「リベラル」と「保守」というものを、論じています。

それも、これまで一般的に言われていたリベラル論とはかなり違った見方を取り、改めて目を開かせてくれるような論法で語られているので、興味深いものでした。

 

本書題名の「朝日ぎらい」、もちろんあの「朝日新聞社」です。

ネトウヨなどと言われる人々が最も嫌い、攻撃しているのが朝日新聞ですが、それがなぜなのか、それを原理的に分析しようというのが本書であり、別に朝日を擁護しようとか批判しようとかしているものではありません。

 

本書テーマは「リベラル化」と「アイデンティティ化」です。

「リベラルが退潮して日本は右傾化した」と言われますが、これは誤りであるということです。

世界でも日本でも人々の価値観は確実にリベラル化しています。

日本のいわゆるリベラル勢力が退潮しているのは、日本のリベラリズム(=戦後民主主義)がグローバルスタンダードのリベラリズムとは隔絶したものになっていったからです。

また、日本の右傾化の象徴としてネトウヨ族が取り上げられますが、彼らは保守=伝統主義とは何の関係もありません。

ネトウヨが守ろうとしているのは、日本の伝統や文化ではなく、自らの「日本人」という脆弱なアイデンティティです。

そして、興味深いのはこのアイデンティティ化というものが日本だけのものではなく、トランプのアメリカ、極右のヨーロッパでも共通していることです。

 

 

若者が右傾化し、安倍政権を支持する割合が高いと言われています。

しかし、安倍政権が主張してるのはまさに「リベラル化」なのです。

若者がリベラルを好むのは古今東西通例ですので、単にリベラルな安倍政権を支持しているだけだということです。

リベラル政党として、どの政党を意識しているのかを世代別に調べた調査があります。

それによると50代以上では最もリベラルなのは共産党、逆に最も保守的なのは自民党公明党と言う回答が多いのですが、20代以下では最もリベラルなのは維新の会でそれに迫って2位が自民党、と共産党などよりもリベラルだという認識でした。

安倍政権が、憲法改革、社会福祉改革、働き方改革等々、改革を連発しているのもリベラル特有の姿勢に見えます。

それに対し、旧来の制度を守れと言っている野党はリベラルではなくまさに「保守政党」となっています。

 

リベラルなら朝日と言われる朝日新聞ですが、リベラルが保守化しているというのは事実でしょう。

しかし、それだけで異様なほどの「朝日嫌い」が起きるはずはありません。

そこにはネトウヨネット右翼)などに見られる「アイデンティティ化」が作用しています。

ネトウヨの主張で目立つのは次の3点です。

①韓国・中国に対する憤り(嫌韓嫌中意識)

②弱者利権の認識に基づくマイノリティへの違和感

③マスコミに対する批判

興味深いのは、この①の韓国中国というところを「歴史修正主義」と言い換えれば、そのまま欧米にも当てはまるところです。

アメリカの白人至上主義者たちの主張も、日本のネトウヨとそっくりであることは象徴的です。

 

白人至上主義者たちは、人種差別主義者とは言えません。

人種差別とは、他の人が自分より劣ると考えることですが、彼らは自分たちが虐げられていると思っています。

彼らには自分たちが白人であるということ以外に誇るもの(アイデンティティ)がありません。

彼らと同様に、日本のネトウヨたちは「自分が日本人であること以外に誇るものがない」からだと考えれば、その主張も分かりやすくなります。

ネトウヨが中国韓国に異常にこだわるのは、アジアで最も優れた民族という日本人の優越感を脅かすからです。

また韓国や中国に理解を示すような発言をした人物は、実は「在日韓国人・中国人」だという「在日認定」なるレッテル貼りをするという、意味のないことをしていますが、これもネトウヨが右翼などではなく「日本人アイデンティティ主義者」だと考えれば簡単に理解できます。

民主党政権が世界標準の外国人参政権を導入しようとしてネトウヨの総攻撃を受けました。

これも彼らが唯一しか持っていない「日本人である」という価値を失わせてしまうからでしょう。

 

経済学者のアマルティア・センアイデンティティというものが及ぼす影響の大きさに気が付きました。

そこで、複数のアイデンティティを持つことがその悪影響から逃れる方法だと論じています。

たとえば、グローバル企業で働く日本人が、嫌韓嫌中の議論を聞いて嫌悪感を抱くのは、彼が日本人としてのアイデンティティとは別に「グローバルビジネスパーソン」としてのアイデンティティも持つからでしょう。

アマルティア・セン自身が非常に多数のアイデンティティを持つ人でした。

「インド国民」「ベンガル人」「アメリカ居住者」「経済学者」「ハーバード大教授」「ノーベル経済学賞受賞者」等々です。

これらはほとんどセンの能力と努力で獲得したものでした。

しかし、実際は先進国でも新興国でも知識社会化が進み、そこにはついていけない人々が多数落ちこぼれていきます。

かれはにはもはやたった一つのアイデンティティしか残りません。

日本で言えば日本人であるというだけのアイデンティティ、それが残されたものです。

それは非常に脆弱なものであり、今にも壊れそうだからこそ過激な反応を引き起こしています。

 

安倍政権は一強体制を長く続けています。

そこには彼らのとった戦略が非常に優れていたということがあります。

国際社会では「リベラル」、若者に対しては「ネオリベ」、既存支持層に対しては「保守」、日本人アイデンティティ主義者に対しては「ネトウヨ

こういったふうに相手により立場を使い分ける事により高支持率を確保してきました。

安倍政権を批判する人たちは、その「ネトウヨ」的な性格の部分を批判することが多いのですが、それだけでは他の面を適正に把握できていないのでしょう。

 

アメリカではトランプ支持者と批判者が真っ二つに別れています。

支持者が保守層、批判者がリベラルと言えるでしょう。

実はアメリカでは居住地によって社会階層がはっきりと別れてきています。

ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ロサンゼルスの富裕層の居住地区では、他の地区とは異なり純粋リベラルと呼ばれる層が圧倒的に多いという特徴があります。

これらの地区に住む新上流階級とも言える人々がトランプを支持するニュープアと対立しているということが、アメリカの分断ということです。

 

これは、IT産業など新興産業に積極的に関わっていこうとする性向とも関連します。

これらの新しもの好き(ネオフィリア)という性格は、リベラルというものとも強く関連しています。

そのために、ネオフィリアは社会的に成功していることが多く、収入も高くなります。

逆に新しいもの嫌い(ネオフォビア)という人々も多いのですが、彼らは新しい産業にすぐに飛び込むこともなく、稼ぐことも下手です。

それは保守としての行動を取ることになります。

このようなネオフィリアとネオフォビアというものは、遺伝的にも別れていきました。

ただし、常にネオフィリアが有利というわけでもなく、危険なものに手を出して破滅するということも多かったために、現代まで両者が共存しています。

 

リベラルと保守の争い、なかなか奥の深いもののようです。

 

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書)

朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論 (朝日新書)

  • 作者:橘 玲
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 新書
 

 

司法頼りの原発反対運動には限りがある。運転差し止め判決は出ても。

愛媛県伊方原発の再稼働差し止めの訴訟で、広島高裁で運転差し止め判決が出ました。

headlines.yahoo.co.jp活断層の影響はまだ検討不足、阿蘇山カルデラ噴火は火砕流が直接伊方原発を襲う確率は低いかもしれないが、火山灰等の影響はあるという根拠です。

 

裁判官3人が検討した上の判決ということですが、司法の専門家の裁判官が無理をして科学の内容にまで踏み込んだものと言わざるを得ません。

どこの専門家に聞いたのかは知りませんが、裁判所のすることではないでしょう。

 

誤解のないように確認しておきますが、原発の運転を止めさせようという運動自体を否定しているわけではありません。

しかし、その方策として裁判所に差し止め判決を出させるというのは時間稼ぎにしかならないということです。

 

政府方針として2030年に原発発電電力を全体の22%に持っていくということが出ています。

それに逆らうような判決を出す裁判官は左遷させられるだけでしょう。

そして再度の判決では政府に従う裁判官が原発運転を認めるだけです。

 

やらなければならないのは、「原発を廃止するような政策を実施する政府を作る」ことです。

昨年の参院選時の各党公約を見ても「原発廃止」をきちんと掲げているのは共産党社民党だけです。

彼らに政権を取らせるのが原発廃止に向けた確実な一歩だと思うのですが。

「あなたはなぜあの人の『におい』に魅かれるのか」レイチェル・ハーツ著

嗅覚と匂いについては、心理学的には非常に大きなものなのですが、あまり深く研究されたことは少なかったようです。

それらに関わる多くの話題を、嗅覚心理学の第一人者と言われるアメリカのブラウン大学のハーツ博士が一般向けに解説します。

 

人間の感覚の中でも、視覚については数百冊の書籍を読むことができ、聴覚・触覚・味覚などの感覚に関してもある程度の本が出版されていますが、嗅覚についての本というものは最近までほとんど無かったということです。

しかし、人間の心理にとっては他の感覚と同様に嗅覚も非常に大きな影響を与えています。

 

本書の冒頭には、事故や病気で嗅覚を失った場合に人間はどのような心理状態になるかという実例が示されています。

オーストラリアのロックバンドの、マイケル・ハッチェンスは交通事故で頭蓋骨骨折、そして嗅覚を失いました。

それまでの食欲、セックス欲、快楽に溢れた生活の楽しみが奪われてしまい、うつ病となって自殺しました。

フロリダの若い女ジェシカ・ロスも自動車事故で顔面を負傷しました。外見は何とか手術で元通りにしましたが、嗅覚は戻りませんでした。

やはりうつ状態となり、新婚の夫ともうまく行かなくなりました。

 

「良いにおい、悪いにおい」と言いますが、これは人によって大きく異なります。

バラの花は良いにおい、スカンクは悪いにおいというのが一般的かもしれませんが、そう感じない人も多いのです。

実際に、著者のハーツ博士はスカンクのにおいというものが好きなのだそうです。

7歳までは田舎で育ち、スカンクのにおいというもにも慣れ親しんでいたのですが、その後モントリオールの都会に転居してからはあまり良い記憶がなかったようです。

そのため、田舎の匂いに懐かしさをおぼえてしまうのです。

 

嗅覚と言う感覚は、実は人が誕生するときに最初に発達する感覚器です。

子宮の中で、受胎後12週ごろには十分に機能し始めます。

そのために、母親が摂取する様々な物質を匂いとして感じることができます。

これが、誕生後に赤ちゃんの味の好みに影響を与えます。

妊娠中にニンニクを食べ、アルコール飲料を飲み、喫煙した母親の乳児たちはこういったものの匂いを好むようになるということが判明しています。

また、母乳にも母親が摂取したものの匂いが移るため、授乳中ににんじんジュースを好んで飲んでいた母親の母乳を飲んだ乳児は、その後ベビーフードでにんじんを好むことが分かりました。

 

マルセル・プルーストの著述の中にあるように、「香りと記憶」は密接に関係があるようです。

ある香りを嗅いだとたん、かつての記憶が蘇るということは多くの人が経験しています。

ただし、これは学術的に扱うには非常に難しいものであり、なかなかまとまった研究は行われてきませんでした。

デューク大学のルービンのグループが1980年代に研究に着手しましたが、明確な証拠は見つかりませんでした。

1990年から、著者は研究を開始しました。

すると、匂いが呼び起こす記憶というものは、他の感覚が呼び起こす記憶より正確さや詳細さ、鮮明さは劣るものの、「情動性」すなわち感情に働きかける作用が大きいということが分かりました。

それがどうやらある匂いが激しく感情を揺り動かすことにつながっているようです。

 

アロマセラピーというものがあり、何らかの香料などで心を癒やすといったことを謳って商売にしている人たちが多数います。

これには長い歴史があり古代中国やエジプト、ローマでは様々なものが使われてきました。

ヨーロッパでは長年の伝統がありますが、アメリカでは最近まで浸透せず、現在でも公的なアロマセラピストの資格はありません。

しかし、実際には多くの施術家がそれを商売にしています。

ただし、人によって香りに対するイメージが異なるため、確実に万人に効果があるというようなアロマはないようです。

そこには心理的な暗示効果をうまく使っているのでしょう。

 

逆にある匂いが人体に障害を与えるということも言われています。

これも、暗示効果による場合が多いようで、実際には存在しない匂いが、あると暗示するだけで体の異常を訴える人が出てきます。

多種化学物質過敏症候群(MCS)もその一種であるということも言われています。

 

体の匂いというものが、特にパートナーを選ぶ際の重要な要素となることも体験的には知られています。

「最初に彼のにおいを嗅いだときから、彼が私の夫になることがわかりました」とは、心理学教授のエステル・カムペーニが告白していることです。

人の免疫系は主要組織適合抗原複合体(MHC)と呼ばれる遺伝子のグループによってコードされています。

これは一方では体の中である種の化学物質を作り出し、それが体臭のもととなっています。

これがどうやらパートナーを選ぶ際の好みを左右しているようです。

 

アメリカのごく小さい宗教集団に「フッター派教徒」という人たちが居ます。

彼らは人口は小さいのですが、その内部だけで通婚しています。

そのために、できるだけ近親結婚を避けるというということが重要となりますが、その方法というのが、どうやら嗅覚を使っているようなのです。

年頃となったフッター派の少女たちは、少年のいる家庭を訪問するのですが、そのときに体臭によって夫とできるかどうかを選別しています。

そこにはMHC遺伝子が関わっており、できるだけ異なる遺伝子構成がある少年の体臭を好ましいと感じるようなのです。

これは、スイス・ベルン大学のヴェデキンド教授のグループの研究でも確かめられています。

若い男女のグループにTシャツを二日間着させて、その体臭が移ったシャツの匂いのどれが好ましいかを調べました。

すると、MHC遺伝子が最も異なる異性を好ましいと感じることが分かりました。

 できるだけ近親交配の危険性を回避できるような構造になっているようです。

 

フェロモンという言葉は大抵の人が知っていることでしょう。

しかし、その歴史はごくわずかなものです。

1959年にドイツの生化学者カールソンとスイスの昆虫学者リュッシャーが作った造語です。

アリの研究をしていて、その放出する化学物質が周囲のアリたちに影響していることを見出し、それを説明するためにこの言葉を作りました。

その後、他の動物も研究され、哺乳類まで含めた多くの種でフェロモンが発見されます。

しかし、人間にはフェロモンが確認されていません。

しかも他の哺乳類などにはフェロモンを感じる器官、ヤコブソン器官(鋤鼻器)というものがあり、そこで感知されているのですが、人間では胎児にはあるものの誕生時には消滅しています。

フェロモンを別の器官で感知しているという可能性はありますがまだ確認されていません。

学生寮などで多数が一緒に暮らす女性の間で、月経周期が揃ってくるという現象が知られており、マックントリック効果と呼ばれていますが、これがフェロモンが存在する証拠ではないかと言われています。

ただし、ヤコブソン器官が存在しないというのは紛れもないことであり、これは疑似フェロモン効果ではないかとも言われています。

 

冒頭にあげたジェシカ・ロスという女性は無嗅覚症になってしまったのですが、著者はこの人とのインタビューを繰り返しますがその間彼女が自分の体臭がひどいのではないかという不安を過剰に感じているのに気が付きました。

無嗅覚という中で、自分の体臭が感じられないからこそ他人への影響を過度に気にするようになってしまったのです。

これと同じように、現代では自分の体臭が他人を不快にしているのではないかという思いを感じる人が多く、ノイローゼになる人もいます。

実は、他人の匂いというものは嫌になるばかりではありません。

母親の匂いというものは子どもにとって安心できるものですし、赤ちゃんの匂いはその母親には特別なもので誕生後わずかの時間で他の赤ちゃんと区別できます。

 

しかし、見知らぬ他人の体臭というものはたいていひどい悪臭に感じられます。

ただし、民族による差は大きく、アジア人はコーカサス人に比べてアポクリン腺が少なく体毛も少ないために体臭がずっと少ないようです。

白人と接触を始めた明治期の日本人の著書に「黄色人種は臭わないが白人は臭い」と書いてあるのを発見した著者は驚きました。

なにしろ、白人は「黒人は極めて体臭が臭い」といって差別してきたのですから。

まさか、自分たちが日本人からそのように考えられていたとは思わなかったのでしょう。

 

ヨーロッパでは水が豊富では無かったということもあり、近代より前にはほとんど入浴をするという習慣はありませんでした。

そのために体臭の強さも激しいものでしたが、皆がそうであったためにそれに慣れてしまいあまり気にしなかったようです。

しかし、近代になると上流階級や金に余裕のある人々の間には風呂に入る習慣が生まれてきました。

そうなると、「下層階級は臭い」ということになり、階級差別につながっていきました。

また、ヨーロッパでは香水というものが非常に好まれていたのもそれの影響でした。

特に王侯貴族は高価な香水を使っており、その香りは特有のものでした。

フランス革命当時、幽閉されていたルイ16世とマリー・アントワネットは国外に逃亡しようとしたのですが、マリーの使っていた香水「王妃の目覚め」の香りで気付かれて連れ戻され、その後処刑されました。

 

しかし、体臭が薄くなっていった時代にはそれが一時的に少なくなりました。

20世紀初頭には男性はフレグランスの使用はしなくなり、女性もほのかな香りのものだけになってしまいました。

それが再び流行しだしたのはマリリン・モンローが寝るときに身につけるのはシャネルのNO5を2滴だと言ってからだそうです。

 

今後の嗅覚の進歩では、匂い検出機械の発展が挙げられています。

さまざまなものの発見に、電子鼻というものが役に立つのではないかとされています。

しかし、まだまだ犬の鼻にはかなわないようです。

 

あなたはなぜあの人の「におい」に魅かれるのか

あなたはなぜあの人の「におい」に魅かれるのか

 

 

ナイキの厚底シューズは禁止になるのか

私のような門外漢には、箱根駅伝区間新が続出という話も驚くばかりでその要因にまったく気づいていなかったのですが、それがどうやら新しいランニングシューズのせいであるということ、そしてそのナイキの厚底シューズがレース使用禁止になるかもといった報道に驚いています。

sohujojo.hatenablog.comイギリスの報道で国際陸連がこの靴の使用禁止を審議していると出てから、日本でも多くのテレビ番組などで取り上げられています。

president.jp

さて、どうなるのか。

国際陸連の判断は遠からず出てくるでしょう。

しかし、上記記事にもあるように、選手と製造企業の努力はこれからも続いていくでしょうし、それを認めるかどうかも微妙な判断が続いていくでしょう。

 

テレビ番組でも触れられていましたが、あの「鮫肌水着」は使用禁止となりましたが、棒高跳びのポールは認められており、かつての竹竿で飛んでいた時代とは跳び方がまったく変わってしまっています。

スポーツでは「勝ちたい」という思いはすべての参加者に強く存在しており、それを後押し(というか、上手くやって金儲け)したいという用具製造メーカーの開発努力も延々と続いています。

 

靴底にロケットを付けて噴射して記録を伸ばすというのは絶対にダメだろうと思いますが、反発性を高めたりクッション性を強めたりと言った開発がどこまでセーフでどこからアウトか、その線引きは難しいものでしょう。

 

直近の話題で言えば、オリンピックのマラソン選手選考で残されたわずかなチャンスであの靴を使えるかどうかは該当選手には大問題でしょう。

それを見ている我々にもその行き先は興味津々といったところです。

 

「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」金成隆一著

トランプが驚異的な勢いで大統領選の共和党予備選挙を勝ち進むようになったとき、当時朝日新聞のニューヨーク特派員であった、著者の金成さんはその理由が分かりませんでした。

彼の周囲のニューヨークの人々はほとんどトランプが勝ち残るなどということを想像もできず、わけが分からないのは著者と同様でした。

そこで、著者はトランプの勢いが最初から強かった地方の取材に行くことにします。

 

その地域とは、オハイオ州ミシガン州といったかつての製鉄業が栄たいわゆる「ラストベルト」という地方と、アパラチア山脈山麓の石炭産業が盛んだったところです。

大統領選終了までの1年間に14州を訪れ、トランプ支持者たちの約150人に話を聞きました。

 

彼らは皆、かつては製鉄業や石炭産業の労働者としてかなりの高給をとっていた労働者でした。

しかし、それらの産業はほとんど撤退し、今では何の産業も無くなった町で暮らしています。

若者たちの仕事もなく、わずかな収入を得るか大都会に出ていくかしか道はありません。

老人たちはそれすらできずに過ごしています。

 

しかし、彼らは皆、人の好いこと。

日本からの記者を歓待しできるだけのことをしてくれます。

支持者を訪ねて居酒屋に入っていくと皆が記者に酒をおごってくれます。

そのような普通の好人物たちがなぜトランプを支持しなければならなくなったか。

 

彼らは元々は民主党支持者でした。

現在のラストベルトやアパラチア地方もかつては民主党が圧勝する地域でした。

民主党が労働者の権利を守ってくれると信じて投票していました。

しかし、地方の製造業がどんどんと海外流出していく事態に、民主党はなにもしてくれず、かえってエスタブリッシュメント(既得権層)に金を回すような政治になってしまったと考えています。

オバマはまだ違ったかもしれないが、ヒラリー・クリントンは完全にエスタブリッシュメントの象徴のように見られています。

それに対するには最高の候補者がトランプだったのです。

 

事実はまったく逆で、ヒラリーはエリートではあるものの貧困問題や人種差別問題に取り組み、富裕層への増税などの再分配政策に取り組んできました。

それに引き換え、トランプは口だけは何を言っても彼が労働者のための大統領になるとは到底考えられません。

しかし、巧妙に作り出したイメージでヒラリーはエリートで金に汚いといったように定着させ、トランプは「既得権を無視して庶民を代弁できる」ように期待を持たせました。

 

アメリカの選挙に金のかかることは日本以上で、そのための努力が政治家にとって一番の関心事ですが、トランプはそれをも自分の有利さに転換させます。

トランプが大富豪であるのは皆に知られていますが、「だから全部自分の金で選挙ができる」ということになり、「だから大企業から金をもらわなくてもやっていける」ことになります。

それが「当選してから大企業の言うことを聞かなくてもすむ」だろうという期待につながり、大企業、大富豪優先のアメリカ政治を変えるかもしれないというイメージを作り出しました。

自分自身が大富豪であるということと矛盾するようですが、これもうまく作り出したイメージでしょう。

 

2016年11月にトランプの当選が決まったあと、1998年に当時のスタンフォード大学教授で故人のリチャード・ローティが遺した本が再び注目を浴びました。

その当時にすでに現在の状況を予言したような内容で、左派の政治家が雇用や賃金といった問題に取り組まずにいると、やがて反動政治家が大きな人気を集めて出現するだろうと書いていました。

そのとおりになってしまいました。

 

アメリカのラストベルトなどの地域に住む、かつての中流階級労働者たちの、都会のリベラルに対する恨みが結集してトランプ誕生を許してしまいました。

その後のアメリカの政治は彼らの期待に沿うようなものだったのでしょうか。

 

ルポ トランプ王国-もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

ルポ トランプ王国-もう一つのアメリカを行く (岩波新書)

 

 そして、時はちょうど2回めのトランプ大統領選になってしまいました。

トランプ支持率は不動のようにも見えます。

彼ら支持者たちの希望は満たされたのでしょうか。

 

”賀茂川耕助のブログ”を読んで、No.1276フィンランドから学べ

昨年12月にフィンランドに34歳の女性首相が誕生しました。

若い女性であるということ以外にも、他の国とくに日本などでは見られないような特徴があるようです。

 

賀茂川さんはそればかりでなくフィンランドの国情など多くの点で日本は見習うべき事が多いとしています。

kamogawakosuke.info

フィンランドなどの北欧の国々の状況は「高福祉・高負担」と言われており、特に「高負担」のところに重点を置かれて紹介され「あんなに税金を払うのは嫌だろう」と誘導されているようです。

しかし、実際のところは「高福祉」の恩恵が非常に大きいようです。

北欧諸国は福祉国家として知られる。よく言われるのは「高福祉・高負担」だが、税金は高いが医療や教育などの普遍的な社会保障は無料か、かなり低く設定されているため、国民は公平にその恩恵を受けることができる。高齢者のケアや幼児の保育も社会制度として備わっており、高齢者の介護は家族ではなく国や自治体が法的な責任を負っているため、自宅での自律が困難になれば医療支援の共同住宅に移るが、そうしたサービスも国から支払われる年金で賄える程度の金額で利用ができる。

この辺のところは、いびつな形でこれに近づきつつある日本では重要課題になりつつあるようです。

 

賀茂川さんも日本が北欧に学ぶべきところは多いとしていますが、さてどうでしょう。

「考える」ということを避けたがる日本人にはいくら良い教材があっても参考にもできないのでは。

「景気を良くする」としか言わない政治家に投票し続ければ何か良くなるかのように思い込む。

日本人として産まれた私でもいい加減飽き飽きしています。

アメリカから日本にやってきて帰化した賀茂川さんも、相当幻滅はしているのではないかと思います。

 

「中国の四字熟語」祐木亜子著、劉傑監修

現代の中国でも四字熟語というものはよく使われるようです。

日本でも使われる四字熟語は、歴史的なものが多いのですが、中国では古いものもある一方、最近作られたもののあります。

中国に留学しその後就職もしていた著者の祐木さんが、現代中国で使われている多くの四字熟語を紹介しています。

 

ビジネス・価値観、人間関係、処世術などいろいろなテーマ別に四字熟語を紹介し、その読み方から意味、出典までを解説しています。

 

日本でも知られているものではつまらないので、中国独特のものをいくつか紹介してみます。

 

上当学乖(しゃんだんしゅえぐぁい)

意味は「騙されて初めて賢くなる」

中国では商売で騙されることが多いようです。

しかし、商売人は騙されて初めて成長できるというのも真理のようです。

騙されて、騙された理由、騙されない対策、そして次は自分が騙すテクニックまで考えるという、すごいことをするのが中国ビジネスだということです。

 

以文会友(いーうぇんふいよう)

意味は「文章の交流で友達となる」

出典は論語「顔淵」

ただし、ここで述べられている中国ビジネスの教えは、「ビジネス現場では相手国の言葉で勝負をするな」です。

中国人は数千年の「文」の民族です。

「文」とは手紙や会話で使われる言葉であり、その人物の教養や弁才を示します。

そのため「文」のレベルが低いと交渉相手に侮られるということになります。

日本人などが、片言の中国語でも使えば相手に評価されると思い込むのはまったく逆に働くかもしれません。

 

奶油小生(ないようしぁおしぇん)

意味は「演技力は三流、顔は一流の俳優」

1980年代の映画「孔雀公主」に出演した俳優の役柄によって作られた言葉。

ただし、この言葉が広まってからは「色白で甘いマスクだが知性が感じられず男らしくない青年」として使われた。

日本では、「知性」があるかどうかはともかく、「甘いマスクの二枚目」に人気が出そうですが、中国ではそういったタイプよりどっしりとした高倉健のような人が人気でした。

ただし、最近の若い女性で日本や韓国のドラマやテレビを見ている人は少し変わってきているようです。

しかし、そういった若い女性でも「結婚相手」は別で稼ぎもあってどっしりした人が良いということになるそうです。

 

中国人の価値観というものは、やはり日本人とは少し違うところもあるようです。

 

中国の四字熟語

中国の四字熟語