爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「神経内科 頭痛からパーキンソン病まで」小長谷正明著

著者の小長谷(こながや)さんは現在は病院長をされているそうですが、神経内科の専門医で基礎研究も長くしていらしたようです。神経内科について一般向けにも紹介する書籍を他にも出版されているようです。
なかなかユーモアもお持ちの方で、随所にそれを感じさせる文章が挟みこまれています。

実は私自身が神経内科分野のおかしな病気を抱えており、興味というよりは切実に知識を求めるという状況にありました。もう20年以上も前からのことですが、目の見え方がおかしくなり、眼科で神経内科での検査を勧められて受診して以来のことです。一度は大学病院に入院して2週間ほどいろいろな検査をしたものの、結局原因はわからないまま治療もできないままということになっています。まあ重大な病気から来るものでもなく命に関わるものではないということはすぐに分かったのですが、日常生活での不便というものは大きなものがあります。神経に関わる病気というものは多岐にわたりまたその影響も大きいといえます。

神経内科の扱う病気の種類を解説されていますが、運動障害、感覚障害、自律神経障害など様々な異常、また脳血管障害のような緊急性のある障害、また重大な症状を起こしながらいまだに原因や治療法のわからない重症筋無力症、パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症ALS)、筋ジストロフィーなど著者の接した患者の例まで触れて述べられています。神経の病気というものは微妙な調節が狂うという例も多いために難病となるようです。
著者は神経内科専門の医師でありながら、実際に自分が顔面神経麻痺になったことがあるそうです。症状などは熟知していますのでそれからどうなるかというのも予想ができたそうですが、実際にそうなってみると色々な病気が推察できるためにやはり良い気持ちではなかったそうです。ちなみに、医師の場合結構専門の分野の病気に自分もかかってしまうということがあるそうです。

後半の難病についての項ではやはり患者の悲惨な例というのも見てきておられるようですが、私も20年前の入院の際には同室の患者さんなどにかなり重症の人も見てきました。病気の診断がつかない段階の検査入院の人ばかりだったのですが、ウイルス性の脳症らしき人であったり、ALSらしき症状であったり、ほとんどの人が重度の運動障害でほとんど身動きも出来ない状態でした。その中で目の見え方が若干おかしいという程度で身体はまったく健康な自分が何か申し訳ないような気にもなったものです。
難病についての研究も進んでいると思いますが、なるべく多くの患者さんが希望が持てるようになればと思います。