爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「やんごとなき姫君たちの饗宴」桐生操著

フランス文学、歴史を学び著述をされている桐生さんがヨーロッパの特に上流階級の饗宴についてさまざまなことを紹介されているものですが、多方面にわたり細部まで解説されており、大変な博学と思います。

アンリ2世の王妃となったカトリーヌドメディチは当時の先進国であったイタリアから数々の料理をフランスに紹介しました。アイスクリームやマカロンなどはこのときに持ち込まれたようです。
また、アンリ4世は多くの女性と浮名を流しましたが、その際にはボンボンをポケットに入れそれを女性に食べさせたそうです。

中に一つだけちょっと気になる記述は、キャビアにあわせる酒には、”シャンパン、それも甘味のリキュールをまったく加えていないブリュット・ド・ブリュットがお奨め”とありますが、この辺はご本人はよくご存知なのでしょうが日本人にはちょっと誤解を招くかも知れません。

シャンパンはワイン醸造後に2回糖分を加えますが、最初は炭酸ガスを作らせるために瓶詰めの直前に”リキュール・ド・ティラージュ”と言われる蔗糖と酵母を混ぜた液体を加えます。これは辛口であってもすべて加えられます。すべての発酵が終了したあとに、甘味の調整のために蔗糖などを加えたリキュール・デキスペディションと呼ばれる液体を加えるそうで、これは辛口シャンパンにはほとんど加えないでしょう。

日本では”リキュール”というと甘口の酒という意味で使うのがほとんどなので、ちょっと誤解しそうです。