爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「アメリカの不運、日本の不幸」中西輝政著

中西輝政さんは歴史学者ですが保守派の論者として有名であり、また安倍政権のブレーンではないかと目されているということです。本人は否定しているようですが。(wikipedia情報)
そんな中西さんが民主党政権の真っ只中の2010年に著した本ですので、政権を口を極めて罵っているという印象です。

そのあとの記載はアメリカの歴史的な真実のあるところを解説し、それがいまだに現在のアメリカの指導者層の意識を縛っているということ、そしてアメリカもこの先徐々に衰退していくのが歴史的必然であるということを述べていますが、にもかかわらず(当時の民主党政権の姿勢を批判して)やはり日米同盟が必要だという結論になってしまいます。
現在はお望みどおりの安倍政権となっていますが、その政策はどうなんでしょうか。アメリカ追従という姿勢は妥当と考えているのでしょうか。

民主党政権では数々のバラマキ政策が取られたのは事実で、それは批判に値しますが、財政赤字の大きさにあらためて衝撃を受けたと言うならば現在の安倍政権の政策はさらに格段に赤字を増やすということにはならないのでしょうか。
また小沢一郎批判も当然あって然るべきものではありますが、「国民が選んだ内閣だから従うべき」という小沢氏の発言を罵るのはどうでしょう。安倍にそのまま帰ってくるようなものですが。
自由が民主主義のもっとも大切な基盤であるという言葉を小沢批判で使っていますが、自民党議員ですら自由に発言できない今の状況はどうなんでしょう。

政権交代を繰り返すと、その際に使われたポピュリズム的政策のためにどんどんと政治が劣化していくそうです。これも自民党政権にそのまま当てはまりそうです。アベノミクスなどはまさにそのとおりでしょう。

アメリカの歴史では3つの誕生という事件があり、その都度アメリカの姿勢が変わってきたそうです。それはピルグリムファミリーの上陸、独立戦争南北戦争だそうです。宗教をバックボーンとした思想と、民主化を妨げるものには国をあげて全力で戦うという姿勢は今でも変わっていないのですが、一方市場経済を信奉し儲かればよいという勢力も強い実力を持っているようです。
さまざまな顔を持った国であるアメリカを理解するには歴史を勉強しろというのが結論なんでしょうか。