著者はアメリカの歴史家・ジャーナリストだそうです。
古代文明が興るとすぐに周辺の民族(蛮族)の侵入が起こりました。近代までの歴史はそれの繰り返しだったのかもしれません。
ローマという文明は最初はそれ自体が蛮族だったのかもしれませんが、一つの帝国として君臨してからは周辺の民族との闘争が歴史となっています。
本書はその最後のあたり、ゴート族の侵入とローマ略奪のところから記述が始まっています。
その後、フン族、ヴァンダル族、アングル族、サクソン族、フランク族と蛮族と呼ばれる人々の侵攻が描かれていますが、その対象は微妙に変わってきています。最初はローマ人であったものがそれに取って代わった蛮族と呼ばれる人々が徐々に文明化し、次には蛮族に侵攻される文明の担い手に代わって行っています。
ヴァイキングに侵入されるイングランドの住民はその前に侵攻したアングル族ですし、フランスの住民はフランク族ですが、キリスト教を受け入れ文明化すると為すすべなく蛮族に虐殺される文明人になっています。
ロシアや中国も扱われていますが、モンゴル関連だけの記述に留まっています。著者の関心はヨーロッパが主であったためでしょう。
文明化すると軍事的に弱体化するというのが中世までの通例であったようです。現代は文明そのものが軍事強大化につながっていますので、もはや周辺蛮族の反抗も許さないほどになっていますが、文明の中心そのものが蛮族化しているように見えます。