最近よく聞くサブスクリプション、サブスクなどと言われることもあるようです。
定額で支払うことで洋服などを次々と着ることができたり、動画や音楽を聴いたりといいったことができるそうです。
そういったサブスクリプションについて、IT関係に詳しい小宮さんがその技術の基礎から応用、経営への活かし方まで解説しています。
なお、さすがに技術革新の先端でもあるためか、カタカナ語が頻出するだけでなく、アルファベットの略語までどんどんと出てくるためにちょっと慣れていない人には分かりにくい感がありました。
サブスクリプションとは、英語の単語としての意味では「予約購読」とか「会費」といった使われ方をしており、利用者に継続的に料金を支払ってもらって商品やサービスと提供していくものはすべて含まれます。
従来型のサブスクリプションでは、各種公共料金(公共放送など)、サプリなどの定期購入・頒布会、プロバイダ料金、各種保険料金、家賃・駐車場などの賃貸料金、といったものもすべて含まれるということです。
しかし、現代的な意味では「所有」するのではなく「利用」するだけといったサービスにサブスクリプションという言葉が使われることが多く、この本でもその現代的サブスクリプションサービスについて解説されています。
インターネットによるこのサービスの発展、IT技術での効率化、物流の関わり等詳述されていますが、ここでは略します。
サブスクリプションビジネスのメリットというところは興味深いものです。
事業者サイドからみて、サブスクリプション・ビジネスというものは継続的に収益が見込めるということで非常にうま味のあるものです。
通常の販売ビジネスでは、新製品を開発するたびに多額の販促費用をかけて宣伝し新規顧客を獲得しなければなりません。
しかしサブスクリプションでは継続契約の顧客に新製品を送るだけなので販促費用は不要です。
さらに長期的に顧客と関係を築けることで利用者の声が集めやすくサービス向上につなげることもやりやすくなります。
しかしデメリットも相当大きいもので、このタイプのビジネスモデルに転換することで経費が増加しまた価格設定も低くしがちなため顧客が少ない初期にはかなりの収益悪化となります。
売れば終わりという販売形態から、定期的に商品を供給しそれを引き取ってメンテナンスして保管しまた別の顧客に供給するといったサービスに転換すればこれまで経験のない業務が激増することになります。
料金設定でも高過ぎたり低すぎたりで失敗した例がいくつもあります。
紳士服のAOKIでは月額1万5800円でスーツを着放題というものでしたが、対象とする20-30代にとって毎月この金額を払えば一年では19万円、かなりの高額と感じられるものでした。
事業者側では必要経費などを積算していけばこの値段になると言っても客にしては高すぎるという感覚となります。
またアメリカではムービーパスという名のサービスで、月額10ドルで映画館で映画を1日1回利用できるというものを始めましたが、すぐに300万人以上の会員を集めたもののあっという間に赤字になり、利用を月3回に制限したりチケットを取りにくくしたりといった対策をしたもののすぐに経営破たんしました。
顧客が長期間持続的に契約してくれて、経営も良好となる価格設定というものは非常に難しいものです。
これからもサブスクリプションはどんどんと増えていくでしょうし、それを利用するメリットも多いようですが、デメリットも数多くありそうです。
それらをよく考えて付き合って行かなければならないのでしょう。