爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「食べものが足りない! 食料危機問題がわかる本」井出留美著

ウクライナ戦争による穀物輸出ストップで食料不足が加速され大問題となりましたが、実はそれがなくても多くの地域で食料不足状態であり、飢餓にさらされている人々も多数居ます。

 

この本はそういった食料危機の現状と原因、そして対策まで分かりやすく解説しています。

著者の井出さんは食品ロスの問題の専門家ということですが、本書は手塚雅恵さんの挿絵とともに一般にも分かりやすいように書かれています。

 

世界の穀物生産量は26億トン、これがきちんと配分されれば誰も飢えることないはずですが、実際には多くの地域で飢餓が発生しています。

そこには戦争や内乱といった政情不安もあり、また富んだ国での食品ロスなど食料の偏在も絡んできます。

実に世界の食料の3分の1はそのまま捨てられているということですし、日本の食品ロスは年間600万トン以上にものぼると言われています。

 

さらに温暖化による食料生産の不安は大きくなっています。

気温上昇で穀物の収穫量が減少すると言われています。

 

その対策には、まずこれを自分の問題と考え少しでもできることをやるということが必要です。

自分の生活の中で食品ロスをなくしていく。

また、電気をなるべく使わないということも実は食料危機と関係しています。

たとえば肉を食べる量を減らす、一週間に一日は肉を食べないようにするといったことも大きな効果があります。

 

世界人口は徐々に増加の程度を減らしていますが、それでもまだ増加を続けており、2050年には98億人に達するとも言われています。

その時には現在の1.7倍の食料が必要です。

大きな問題は食料生産には大量の真水がいるということです。

この確保は難しいものであり、厳しい状況となるかもしれません。

 

どうやら人類の未来はかなり暗いようです。