日本の伝統的な生活に密着した知識というものは、その生活自体が変わっていくにつれ消えていくものなのかもしれません。
この本ではそういった消えゆく知識を「絶滅危惧知識」と称して、紹介しています。
縁起・行事・衣食住・生活文化の項目に分けて説明されていますが、聞いたこともないというものもあちこちに見られます。
「鮑結び」「梅結び」といっても何のことかよく分かりませんが、べつにおにぎりの種類の話ではなく、水引の結び方だそうです。
代表的なものは「蝶結び」ですが、一度ほどいても何度でも結びなおせるということで出産や長寿の祝いに使われます。
一方、鮑結び・梅結びは固結びでほどけにくい結び切りと言われるもので、結婚式などに使われるということです。
初夢で見ると縁起の良いというものは「一富士・二鷹・三茄子」と言われますが、そこまでは知っていてもその続きがあるとはあまり知らないことです。
「四扇・五煙草・六座頭」だそうです。
いずれも芸者などのいる宴会で欠かせないおめでたいものということです。
月の名前の和名といえば、睦月・如月・弥生・卯月・皐月・水無月・文月・葉月・長月・神無月・霜月・師走ですが、実は他にもたくさんあるそうです。
1月は、泰月、子日月、太郎月など
2月は雪消月、梅見月、初花月
3月は花見月、桜月、鄙月
4月は花残月、植月、木葉採月
5月は早苗月、橘月、多草月
6月は風待月、鳴雷月、涼暮月
7月は七夕月、風微月、穂含月
8月は木染月、穂発月、燕去月
9月は紅葉月、菊月、寝覚月
10月は初霜月、雷無月、時雨月
11月は霜降月、雪待月、露籠端月
12月は厳月、窮月、氷月
などとなっています。
四季の風景や日本の文化が凝縮されたようなものですが、今では使っても何のことか分かってもらえないものでしょう。