感染症流行が止まらないためか、テレビを見ても「菌が・菌が」の大合唱の次によく出てくるのが「免疫力を強めるために何々(健康食品など)を」といったコマーシャルが溢れています。
しかしその割に免疫というものについて、ちゃんと知っているという人はほとんどいないのでは。
私もかつて仕事をしていた頃は、免疫も近いところにあった時もあり、単語の切れ端だけには触れていたものの、とても理解していたとは言えない程度です。
というわけでこの「免疫学の基本」という本を手に取ってみたのですが、どうやらこの本の対象読者は医者ではないもののある程度医療に関係する人たちのようで、内容はかなり専門的です。
また、巻末に「赤いフィルム」が添付されており、何かと思ったらそれを挟んで読むと重要な単語(赤字になっている)が隠されて、それを思い出すことが勉強になるという、受験参考書のような作りになっています。
なお、当然のことですが、本書の中には「免疫力増強」などと言う単語は全く無く、そういった内容も含まれていませんので、「何かを食べて免疫力をつけよう」という目的には使えません。
免疫とは外部から侵入する外敵に対して体内の細胞などが様々な対応をして排除する働きのことです。
その仕組みについて、また関係する組織や細胞などについて詳しく解説されています。
また、免疫反応を巧みに使って作られてきたワクチンの予防接種についても一章を設けて説明されています。
さらに実は大きな問題である「免疫異常」についても詳しく書かれています。
免疫異常による疾病には、エイズなどによる免疫不全もありますが、それよりはるかに多いのがアレルギーなどや自己免疫疾患、そして重症筋無力症や多発性硬化症などの難病でしょう。
こういった免疫異常の疾病を考えると、簡単に「免疫力を上げる食べ物」などと言うことは言えないと思いますが、そこまでは考えないのでしょうか。
白血球が免疫の大きな役割を担っているということは辛うじて知っていましたが、多くの種類がありどれも小耳には挟んだことがあるものでした。
好中球・好酸球・好塩基球、T細胞・B細胞・NK細胞、マクロファージ、樹状細胞、どれも一度は聞いたことがあるような気がしますが、どれもが白血球の中に入るということは知らなかったことです。
アレルギーも免疫の異常によるものですが、私もいくつかアレルギーを持っています。
花粉症、食物アレルギー(キウイ、その他)などですが、困ったものです。
金属アレルギーというものもあるということは知っていましたが、抗原となるのはタンパク質などの分子だと思っていたので、金属がなぜアレルギーを発するかということは疑問でした。
やはり金属自体がアレルゲンとなるということではなく、皮膚に接触した金属が汗などによって溶け出して金属イオンが体内に入り込み、それが体内のタンパク質と結合して抗原となってアレルギーが発症するようです。
そのためイオン化しやすいニッケル・コバルト・クロムはアレルギーを起こしやすく、イオン化しにくい金・銀・プラチナなどはその恐れが小さいそうです。
どうやら誰もが関係ありそうな免疫学です。
少しは知識を取り入れておくのも必要かもしれません。