将棋界は藤井聡太五冠の活躍で活気づいているかのようですが、実際には少し昔の方が家庭や職場などで自分たちで指そうという人が多かったのではないでしょうか。
有名な作家、経済人、政治家などでも将棋好きで有名だった人が何人もいました。
この本はそういった将棋好きの著名人やプロ棋士たちの将棋に関するエッセイを集めたもので、そのもとの文章は「将棋世界」といった将棋雑誌に掲載されたものです。
編集は文芸春秋ということになっていますが、巻末に「あとがき」として金井厚さんという方が書いていることによれば、昭和46年から49年にかけて多くの将棋好きの方々に依頼して原稿を書いてもらい、将棋雑誌などに発表したそうです。
さらに他の雑誌などに掲載された文章も集めてこの本としたそうです。
将棋好きの作家として有名だったのは、菊池寛、幸田露伴といった文豪だったようですが、この時期にはさすがに間に合わなかったとはいえ、この本にまとめられた人々もそうそうたる顔ぶれです。
作家では井伏鱒二、尾崎一夫、梶山季之、三浦哲郎、高木彬光、幸田文他。
学術界からも古在吉重、矢野健太郎などの人々が名を連ねています。
当時のトッププロ棋士たちも文章を寄せており、その章の小題が「待ったをした頃」なんですが、プロ棋士が「待った」をすることなどはあり得ないのですがそれでも子供の頃に将棋を覚えたたての頃にはそういうこともあったのでしょう。
そのメンバーはが中原誠、木村義徳、加藤一二三、金子金五郎、二上達也等々、ベテランから当時の若手までです。
作家や出版界の人々の思い出話では、やはりかつての文豪で将棋好きの人達のエピソードが多く、好きが高じて自費で将棋大会を催し賞品も出し、飲み食いも自分持ちで最後は大宴会ということをした人が何人もいたそうです。
さすがに現代ではそのような豪快な話はあまりないでしょう。
私も若い頃は会社の休憩時間に将棋盤を持ち出して対局ということもありました。
何人かはちょうど良い実力で勝ったり負けたりということもありましたが、その人たちも会えなくなってしばらく経ってしまいました。
皆さんお元気にしているのでしょうか。