人口の急増はその勢いが若干弱まったかのように見えるものの、まだまだ続いているようです。
食糧不足や資源枯渇など、人口増によりさらに危機が高まるということが言われてきましたが、このところその危機説もそれほど声高に言われることが少ないようです。
しかし、この本ではやはりその人口増の危険性が非常に強まっているということを主張しています。
日本では人口減少に転じ、その傾向を見せた国々も現れています。
またこれまで人口急増が続いていたところでも少しずつその勢いが弱まり、いずれは世界的に見ても人口は減少するという見方をする人もいます。
しかし、現在ではまだまだ人口増が留まることはなく、現在でも4日半ごとに100万人ずつ増え続けています。
幾分かは減速したとはいえ、やはり人口は増え続け、今世紀中には100億人を越えるでしょう。
それでも大丈夫なのかどうか。
食糧問題や資源問題はもはや解決したかのように主張する人もいますが、実際にはまだまだ大きな問題であり続け、やがて悲惨な結果を引き起こす危険性もかなり強いということです。
この本ではそのような人口について、世界の色々なところでの現在の状況を示しています。
「子どもを産む」ということに対しての考え方は世界各国でかなり異なります。
特に特徴的なのがキリスト教の中でも一部の宗派で、堕胎どころか避妊すら認めないというところもあります。
イスラエルのユダヤ教の一宗派でも聖書の言葉通りどんどんと子供を産み続けるのが神の意志だと信じ、人口が増え続けてその結果人々が極貧状態に陥るというところもあります。
イスラム教でもそれに近い思想を持つものがあり、人口を増やせば経済も軍事も強力になると信じて産み続けその結果どんどんと苦しくなっていきます。
中国では有名な一人っ子政策を強制したためようやく人口増に歯止めがかかっていますが、それでも現在でもまだ人口は増えています。
もうしばらくすると徐々に減り始めその後は急減することになるでしょうが、そのひずみは社会の各所に出始めています。
現在でも凍結していない大地の40%が耕作地か牧草地であり、それはそれ以上増やすことが難しいレベルに達しています。
現在では食糧生産には数値的な危機は訪れておらず、飢餓が発生するのは地域的な食料配分の失敗と見なされていますが、実際にはそれは化学肥料や農薬の大量投与によって支えられているだけであり、それが崩れれば今の人口を支えるだけの食料は得られなくなるでしょう。
人口急増のペースは若干緩んだようでもありますが、まだまだ危険だということです。
下巻では日本についての言及もありますが、どのような描き方でしょうか。