早くも蒸し暑さが到来し、またコロナウイルス流行も少し落ち着いたように見えるからでしょうか、「熱中症のリスクがあるからマスクは外しても良いのか」といった話が聞かれるようになりました。
これについて、リスク学者永井孝志さんのブログで論じています。
実は「マスクをしていると熱中症になりやすい」ということをはっきりと立証したデータというものは見られないそうです。
それならなぜそういった議論が出て来るのか。
実は、もう相当「マスク生活」に対する嫌気というものが社会の中に蔓延しているからだそうです。
つまり、「マスク生活にうんざりしている」がことの本質であって、熱中症のリスクは実のところどうでもよく、熱中症とマスクが関係ないなら他の(都合の良い)理由を探すだけなのです。
というのが実際の理由なのでしょう。
これは以前にも説明された「感情的ヒューリスティック」という理論と同じようなものということです。
つまり「その対象を好きか嫌いか」でまず判断し、その理由付けは後から考えるというものです。
とにかく「もうマスクは嫌だ」だから何か適当な理由を見つけようという思考過程なのでしょう。
こういった事例はマスク以外にも世間にはたくさんあります。
被覆肥料のプラスチックカプセルのマイクロプラスチック化、有機農業と環境リスク、コロナワクチンの有害性など、実際にきちんとリスクが評価されたということではなく、そもそもそれが嫌いだから何か理屈をつけるということでしょう。
とはいえ、「マスクを着けるのが嫌」という心理自体は別に間違ったことではなく、マスクを着けないことによる感染拡大のリスクと並べて考えていく必要はあるのでしょう。
リスクを考えていくということは、こういうこととも向き合わなければならないということなのでしょう。